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六人の嘘つきな大学生

概要
誰もが憧れる新興IT企業の最終試験に残った就活生6名。最終試験は集団ディスカッションでうまくいけば全員に内定が出ると発表された。全員内定に向けて準備をし、徐々に結束が高まる6名。しかし、本番の数日前に、最も内定者に相応しい1名を自分たちで話し合って選出する方法に変更すると発表された。最終試験当日、試験会場には不審な封筒が置かれていた。
本編は、最終試験が終わるところまでが1部、数年後の振り返りで真実がわかるまでが2部であった。

感想(ネタバレあり):
1部が終わって、まだあと半分あるけどこれ以上何が起きるの?と思ったら最後までページをめくる手が止まらなかった。謎解きあり、メッセージありでしっかり感動して涙が出ていた。

社会生活というのは単純なものではなくて、部活やってたから体育会系で強いとか、部長やってたからリーダーシップがあるとか、切って貼ったような経験では語ることができない。それでも経験でしかアピールできない就活というものには反吐が出て、心が折れることはあり得る。真面目な人ほど、お金でしか買えない経験を評価する就活というものは理不尽だと感じると思う。しかし、会社から見ると、長い時間をかけてその人を知ることができない以上、経歴で評価することしかできない。就活というシステムを利用する以上、やむを得ないジレンマである。九賀がひねくれてしまって、事件を起こすのも少し理解できてしまう。
しかし、波多野が過去の事件を調べ直したところ、当事者の想いは、想像と全然違っていたことが判明。ショッキングなニュースの見出しが人に与える威力と、真実を知ることの大切さ痛感した。つらい目に遭っても前を向こうとした主人公は命を落としたが、他の人に想いが伝わってよかったと思う。

社会で働くということは人と関わって新しいものを生み出すことで、人を信じること・経験すること・人と関わって行くことが大切なのだと思わせてくれる作品であった。生きている限り、人は何度でもやり直しながら強くなって行くしかないということを前向きに考えられる作品であった。

#読書
#六人の嘘つきな大学生