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びっくりするくらい小さい椅子

たまにびっくりするくらい小さい椅子を見ることがある。大概折り畳みの椅子だ。折り畳みといってもアウトドア用の布製のものではなくそれなりにしっかりした作りの室内用のもので、色味が黒で統一されていること、座面にデフォルメされた恐竜や擬人化された車が描かれていないこと、座っても「プピー」と音が鳴らないことなどから子供用ではないことがわかる。普通に成人が座ることを想定されたやけに小さい椅子である。

そんな椅子に久しぶりに座ることがあった。久しぶりすぎて前回座ったときの記憶はもうない。新鮮に「小さい椅子だなあ!」という感想を抱く。こんな小さい椅子に座って大丈夫なのか?大人の体重に耐えられるか?そんな初回みたいなことを思いながら恐る恐る腰を落とすと、椅子は思っていたよりしっかりと僕の体を受け止めてくれた。

その瞬間、記憶が蘇った。ああ、そうだった。この手の小さい椅子は、見た目のイメージよりもずっと座りやすいのだ。なんだったら構造上の遊びがある分、しっかりした硬い材質の椅子よりも座り心地がいいくらいなのである。たしか以前座ったときにもそんなことを思ったのだ。その記憶が一気に蘇ってきた。

びっくりするくらい小さい椅子は、案外座りやすい。

きっとまた忘れてしまうだろう。

そしてまた思い出すのだろう。

びっくりするくらい小さい椅子は、案外座りやすい。

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