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ただのおみくじ

飲食店でお会計をした後に「おみくじを引いていただいてます」とくじ引きの箱を差し出され、「超大吉」と書かれたカードを引き当てた。ドリンクが無料になったりするのか?と思い「これはどういうやつなんですか?」と聞くと、店員さんにまっすぐな目で「ただのおみくじです!」と返された。

そうか!ただのおみくじか!これはただのおみくじだったのか!

いやいや、ただのおみくじにしては紙質が良すぎるだろ!とか、レジで箱から引かせたら特典ありと思うだろ!とか、「超大吉」なんて言うからややこしくなるんだぞ!とか思ったが、「ただのおみくじ」という潔さが痛快でなんだか楽しい気分になった。

そして、無意識にその可能性を除外していた自分の都合の良さにも気づいた。正月早々意地汚いにも程がある。おみくじだと言われて引いたくせに、何か特典があって当然だと思うなんて品性下劣も甚だしい。卑しい人間だ。卑しさが顔に出ている。そんなことではろくな一年にならないぞ、とただのおみくじに教えられた気がした。

せっかくの「超大吉」だ。いい年にしなくては。

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