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改めて、母乳育児について考える

助産師といえばおっぱいケアでしょうか。
わたしはBFHを謳う病院に10年以上勤めてきまきた。

赤ちゃんにやさしい病院(BFH)とは、UNICEF・WHOから「母乳育児成功のための10カ条」を実践していると認められた施設のことです。BFHの施設管理者や院長は「母乳育児成功のための10カ条」に基づいて職員に授乳管理や授乳支援の訓練を行い、母乳育児を実践することを約束するものです。

名古屋市立大学医学部附属西部医療センターHPより

勤めていた病院では、母乳育児を推進するために、妊娠中からのおっぱいのケアの仕方、出産前から授乳の指導がありました。

出産した後も赤ちゃんとママの健康状態に問題がなければ、カンガルーケアといって、ママと赤ちゃんの肌と肌を直接触れ合わせるケアを行います。

産後、ママと赤ちゃんの容態が安定していたら、ママが温かいバスタオルなどに包んだ状態の赤ちゃんと肌を合わせながら、ママの胸で抱っこすることです。
生まれてすぐに元気に泣いた赤ちゃんは、ママの胸で抱っこされると、安心して泣きやみます。赤ちゃんの呼吸が穏やかになり、ママの心臓の鼓動を聞き始めます。目を開いてママを見つめたり、手や口を動かしたりすることもあります。
胸に乗せると、赤ちゃんはママのおっぱいに近づいてきます。お腹が空いていたら、おっぱいを探すでしょう。母乳育児を目指すママの場合、早期母子接触は母乳育児 を促すメリットがありますね。

パンパースHPより

わたしが言いたいことが全部載っていました笑
カンガルーケアをしていると、赤ちゃんは本当にもぞもぞと動き出し、ママのおっぱい香りを頼りに、おっぱいを目指していきます。

そして、ママも自然と赤ちゃんにおっぱいを含んでほしい気持ちになります。

おっぱいをくわえるまでには少し時間がかかります。自分で吸いにいける子もいますが、わたしたちが少しお手伝いしてくわえさせてあげると、しっかり吸ってくれます。
初めてのママはこんなに力強いんだぁ!!と話す方が多かったし、何人目かのママはこの感じ懐かしい〜と、笑顔で話されます。

お産直後のママたちの顔は本当に美しいんです。
あれってなんでなんでしょうか?

そしてここから母乳育児の本番。
お産のお部屋では赤ちゃんはしっかりおっぱいを吸ってくれる子が多いですが、ママたちのお部屋に戻ると、睡眠モードになります。
お産直後は赤ちゃんも興奮状態であることが多いですが、その後はお産の疲れを癒すのに寝るのでしょうね。

そして、初期嘔吐が起こることが多いです。
初期嘔吐とは、お産の最中に羊水や血液、分泌物を飲み込んで生まれてくるため、それらが消化管を刺激して嘔吐します。
この間はおっぱいを嫌がることも多いですが、くわえてくれるようでしたら2〜3時間ごとにおっぱいを吸わせてもらうようにしていました。
生まれてすぐからママと赤ちゃんは同じお部屋で過ごします。

わたしたちが離れると、ママは赤ちゃんと2人きりになって、不安もあるはず。
そのためにわたしたちがいます。
わたしはオムツ交換、授乳のたびにナースコールを押してもらって、一緒にママと育児をしてきました。
1人でできるかな、と思うようになったら、そこからは自分で何度も授乳をして、オムツを変えて、抱っこして、少しずつ育児に慣れていきます。


産後ケアに来るママたちから聞くと、この地域の産院では母子同室のところはほぼないようです。
赤ちゃんがそばにいることに慣れたり、何度も自分で赤ちゃんのお世話をすることで、育児に自信がついてくると思いますが、離れ離れではその経験も少なくなり、退院してから不安が残りますよね…。ママたちに優しいようで、優しくないような気もします。その後の不安のケアを十分にできるのであればよいのですが。

話が脱線しました。

お産当日は割と寝てくれていた赤ちゃんも、1〜2日目になると、よく寝ていたのが嘘かのようによく泣きます。
何度もおっぱいをあげていると、乳首も痛くなるし、おっぱいの量が増えてくるのは3〜4日目くらい…お産後のホルモンバランスの急激な変化もあって、だいたい2〜3日目の夜、泣きながらナースコールを押してくる方が多かったです。

そんな辛い夜を一緒に乗り越えて、おっぱいが出てくるようになると、ようやくよく寝てくれるようになります。

でも、夜中もおっぱいをほしがるので、夜以外の睡眠確保もとても重要です。日中も赤ちゃんが寝ている時にママも寝てほしい。

(お見舞いのみなさん、入院中はとても大事な期間なので、ぜひ短めに、もしくはおっぱいが軌道に乗ったらお家に行ってあげてください笑)

そんなこんなであっという間に退院。
家に帰れる〜という喜びと、家族だけで大丈夫かな、という不安も入り混じってお帰りになります。

その病院の母乳率は、退院時は7割、1ヶ月健診時は8割でした。
やはり中にはママの希望で混合、完全ミルクの方もいましたし、おっぱいを頑張ったけれど、乳首をうまくくわえられず、母乳分泌が進まずにミルクを併用していたり、最終的にミルクだけになることもありました。
いろんなドラマがありました。考えさせられることもたくさんありました。

今わたしが開業してやっている産後ケアは、退院していったママたちのその後を見守る仕事です。

ミルクを併用しているけれど、おっぱいだけにしたい。
おっぱいを急に吸えなくなった。
おっぱいが足りているか不安。
おっぱいが痛い。
おっぱいをそろそろやめたい。

などなど、産後のママのお悩みに合わせてケアをさせていただいています。

今の時点でわたしが思うことは、
おっぱいっていいよね
ってこと。浅い笑

おっぱいにはいろんなメリットがあるのはみんな知っていると思うのでここでは割愛しますが、本当に大変かどうかはやってみないとわからないから、お願いとにかくおっぱい一緒にやろうよ…!と言いたい。

頭で考えすぎると、お産もうまくいかないことがあります。
せっかくおっぱいあるし、飲ませてみよう!
やってみてうまくいかなくても、ママこんなに頑張ったよ、って胸張って言えます。

赤ちゃんがおっくんおっくんおっぱいを飲んでいる姿は、こちらが見ていても心地よいんです。
ママも気持ちよいですよね。
わたしも3人授乳しましたけど、幸せでした。飲まれた後にスッキリするのも好きでした。

いろんな情報が溢れている今だからこそ、自分の本能や感情を大事にすることが大切だと思います。

うまくいかない時には、わたしたちがいますよ。一緒におっぱいがんばってみませんか?


それでは、また✨

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