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lay the foundation stone=礎石を据える=起工式を行う | 教科書に出てこないニュース英語 《クウェート・インドネシア》

クウェートの英字新聞Kuwait Timesのウェブサイトで、2024年8月15日に配信された記事の見出しで使われていました。

IICO lays the foundation stone for educational projects for orphans
IICOが孤児のための教育プロジェクトの起工式を実施

Kuwait Times
 https://kuwaittimes.com/article/17877/kuwait/other-news/iico-lays-the-foundation-stone-for-educational-projects-for-orphans/


◾️'foundation stone'を辞書で引くと

foundátion stòne
1 礎石,土台石;(定礎式で記念の言葉を刻む)基石
2 基礎;基本原理

goo辞書 - 小学館 プログレッシブ英和中辞典

また、「礎石」の項には次の説明があります。

そせき【礎石】
I〔建物の〕a cornerstone; a foundation stone
  礎石を据える lay the cornerstone ((of a building))
II〔物事の基礎〕
  彼はこの国の民主政治の礎石を築いた
  He laid the foundations [the cornerstone] of democracy in this country.

同上

「礎石」がピンとこないので、もう少し調べると、
こんな説明がありました。

建物の中などで見かける「定礎(ていそ)」の文字。建築工事で土台の石(礎石)を据えることを表します。現在では竣工時に「定礎式」を行うことが多く、写真のような定礎板を設置します。この奥の箱に建築図面や竣工時の新聞などを入れ、タイムカプセルになっていることもあるそうです。

https://x.com/nikkei_kotoba/status/1767113243149873202


上記説明から拝借

やっとイメージがはっきりしてきました。
礎石:
・物理的には:基礎部分に置く石
・象徴的な意味:「礎石を据える」=「起工式を行う」(または「竣工式を行う」)
・もっと象徴的な意味:礎石=物事の基礎

この見出しでの意味は、記事本文を読んでみる必要がありそうです。

クェートのイスラム教組織がインドネシアの孤児のための学校等を建設

この記事の見出しは、

Charity launches Al-Lahib Educational Village in Indonesia
慈善団体がインドネシアにアル・ラヒブ教育村を設立

大見出し(↓)に出てくる言葉が言い換えられています。

IICO lays the foundation stone for educational projects for orphans

 IICO → a Charity=慈善団体
 lays the foundation stone for → launches=開始する
 educational projects for orphans → Al-Lahib Educational Village in Indonesia=インドネシアにある 'Al-Lahib教育村'

謎だったIICOは、慈善団体の名称でした。
起工式か竣工式か、あるいは実際の建設工事の開始かはまだわかりません
プロジェクトはインドネシアでのものでした。Al-Lahibは地名?


本文に進んでみましょう。
本文の概要は…

クウェート発
・国際イスラム慈善団体(The International Islamic Charitable Organization;IICO)は、インドネシアのバンテン(Banten)にあるシェイク・アリ・サレハ・アル・ラヒブ教育村(Sheikh Ali Saleh Al-Lahib Educational Village)において、孤児のために教育・社会復帰・生活支援?(service)を行う5つのプロジェクトの礎石を据えた。

・このプロジェクトはインドネシア・クウェート協会(the Indonesian-Kuwaiti Association)との協力により実施される。

・この村は、1,150人の男女学生にサービスを提供する。

・この村には、①男女の学生のための寮、②聖クルアーン(=コーラン)暗誦のためのセンター、そして③コンピュータラボや機械工学・木工の2つの作業場を含む職業訓練センターが設置され、総費用は100万ドル以上。

・目的は、孤児の生活を改善し、より良い未来を実現するための教育機会を提供すること。

・IICOの担当者は、このビジョンがSDGsの第4目標に一致しており、すべての人に質の高い包括的な教育を確保することに焦点を当てていると述べた。また、教育は成長を目指す社会にとって基本的なニーズの1つであると信じていると強調した。

・彼は続けて、「この村が故サレハ・アル・ラヒブの名前を冠していることで、クウェートの偉大な人物の1人を誇りと敬意を持って思い出す」と述べ、彼の寄付金が世界各地のモスク、学校、孤児院、職業訓練センターの建設を支えていることを指摘した。

・インドネシア・クウェート慈善協会の総監は、アル・ラヒブ教育村がクウェートの援助によるインドネシア内の他の質の高い慈善村やプロジェクトに追加されると述べた。

記事の中に施設の完成がいつだったのか、あるいはいつの予定なのかについての記述はありませんでした。
しかし、ニュース中の下の写真や、「アル・ラヒブ教育村」をネット上で探しても見つからなかったことからすると、おそらくは建設初期の式典が行われたのではないかと思われます。


少し前の記事になるのですが、2017年にムスリム世界連合(the Muslim World League (MWL))の書記長(general secretary)が、ジャカルタで新施設の建設に関わって「礎石を据えた」記事があり、その様子の写真が掲載されていました。↓

Dr. Muhammad Bin Alkareem Al Isa laying the foundation stone for the Center for International Civilization in Jakarta.
基礎というよりは壁の一部に見えます。
Dr. Muhammad Bin Alkareem Al Isa and Indonesian officials during the laying of the foundation stone for the Center for International Civilization in Jakarta.
この様子をduring the laying of ~と動名詞にしているので、実際に石を置く行為だけでなく一連の儀式を指して、lay the foundation stoneと呼んでいることが推測できます。
新施設の完成予想図も掲載されていました。

おそらく今回も、銘板の設置を伴う同様の儀式が、建設初期に行われたものと思われます。

話が長くなりましたが、以上より、
lay the foundation stone=礎石を据える=起工式を行う
としました。

     ********

私は詳しくは分かっていなかったのですが、
インドネシアのイスラム教徒の人口は 2.38 億人
に達しており、
インドネシアは世界最多のイスラム教徒を抱える国でもありました。

そのため、クエートのようなアラブのイスラム諸国が、イスラム教の発展に資する施設の建設のために資金提供を行なっているのだと思います。ニュースでは援助額が誇らしく記されています。

このような結びつき、協力関係があることをこのニュースを通じて知りました。

ちなみに、次のことも初めて知りました。
まだまだ知らないことがたくさんあります。

インドネシアは憲法で信仰の自由を認めており、イスラム教も国教という位置付けにはなっていない他方、「建国五原則(パンチャシラ)」で唯一神への信仰を規定しているため、無神論は認められていない

地域による宗教の違いも大きい。人口の大部分を占めるジャワ島ではイスラム教徒の比率が極 めて高いものの、例えば、バリ島ではヒンドゥー教が、北スマトラではプロテスタント、また、 スラウェシ北部、マルク諸島、パプアなどではカトリック・プロテスタント両信者の人口が多い。

株式会社国際協力銀行(日本の対外経済政策の遂行を担う政策金融機関)による情報
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/image/inv_indonesia01_02.pdf









































































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