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Mpox=サル痘 | 教科書に出てこないニュース英語 《南アフリカ共和国の公共放送から》

南アフリカ共和国の国営通信社SABC NEWSの電子版で2024年7月11日に配信されたニュースの見出しで使われていました。

Two additional cases of Mpox recorded this week
今週、新たに2件のサル痘感染者を記録

https://www.sabcnews.com/sabcnews/two-additional-cases-of-mpox-recorded-this-week/
Test tubes labelled "Monkeypox virus positive" are seen in this illustration Image
Credits : Reuters 上記ページより

Mpoxは、MonkeyPox=サル痘の略です。
poxを辞書で調べると…

[名]
1
《病気》痘症,痘
2〔the ~〕梅毒
3《植物・病気》瘡痂そうか病
4〔間投詞的に〕こんちくしょう
語源[pocks の異形]

goo辞書

と書かれています。


さらに「痘」を調べると…

もがさ。ほうそう。皮膚に豆つぶのような水ぶくれができる感染症。「痘瘡(トウソウ)」

goo辞書

との説明が、漢字辞書にありました。
(「痘症」では、辞書に見当たらず。また、「痘瘡」は天然痘を指すようです。)


サル痘は、以前にニュースで聞いたことがありましたが、「そんなんがあるんか」と思っただけでしたので、今回調べてみました。

日本の国立感染症研究所のサイトに説明がありました。
概要部分を引用します。

サル痘は、サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患である。感染症法では4類感染症に位置付けられている。主にアフリカ中央部から西部にかけて発生しており、自然宿主はアフリカに生息するげっ歯類が疑われているが、現時点では不明である。稀に流行地外でも、流行地からの渡航者等に発生した事例がある。症状は発熱と発疹を主体とし、多くは2−4週間で自然に回復するが、小児等で重症化、死亡した症例の報告もある。

国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html#:~:text=サル痘は、サル痘,発生した事例がある%E3%80%82

感染例の中心は、アフリカの中央部から西部で、

2022年4月24日現在、アフリカ大陸では中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ナイジェリアで発生が持続しており、特にコンゴ民主共和国では2022年1月以降1,152例の患者と55例の死亡例が報告されている(WHO AFRO, 2022)。

国立感染症研究所

と書かれています。
アフリカ大陸以外でも、アメリカやイギリスで、アフリカからの帰国者や輸入された動物からの感染と疑われる症例が報告されているとのことでした。

記事の本文では、

・5月の発生以来の症例数は合計22件となるが、死亡者数は3人のまま
・最新の症例は、40歳と26歳の男性で、どちらの新規症例も、国際的な旅行歴はないが、MSM(男性同性愛者、男性間性行為者)であることを自己申告している
・引き続き慎重に行動し、Mpoxの感染拡大を防ぐための必要な予防措置を取ることが求められている

と書かれていました。

日本の国立感染症研究所のサイトをさらに読み込んでいくと、日本国内でも症例は多く報告されていることがわかります。

2023年10月6日時点で、国内では208例が探知されている。 症例はすべて男性であり、19都府県で探知された。居住自治体別の探知数は多い順に、東京都131例、神奈川県18例、大阪府15例、埼玉県11例、千葉県9例となっており、その他茨城県、群馬県、山梨県、静岡県、愛知県、京都府、兵庫県、奈良県、広島県、徳島県、香川県、高知県、鹿児島県、沖縄県からの報告があった。これまで感染症発生動向調査に基づく届け出及び保健所による疫学調査では、国内の症例において死亡例は探知されていない。症状については、発疹が186例(89.4%)にみられ、発熱が153例(73.6%)、リンパ節腫脹が71例(34.1%)でみられた。海外渡航歴のない症例が193例(93%)であり、特に2022年38週以降は海外渡航歴のない症例が主体である(厚生労働省, 2022a)。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/monkeypox-m/2596-cepr/12320-mpox-ra-1108.html

また、この新しい説明ページの文中では、「サル痘」ではなく「エムポックス」と記述されていました。
動物からの感染経路が不明で、ヒトからヒトへの感染も疑われるため「サル」が誤解を生まないようにするためではないかと思われます。


調べてみて、
・この病気が初めて報告されたのは1970年と比較的新しいこと、
・南アフリカのような当初報告された現在のコンゴ民主共和国と同じ大陸の中だけではなく、日本でも208もの症例が確認されていること
に驚きました。

人の活動がグローバルになると、病気もグローバルになる。
だから、対策もグローバルに協力する。
そういう国際社会になってほしい。
そういう方向で国際関係を築ければ、と思います。ギスギスではない方向に。

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