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ケアってなんだろう


産業看護の目的は学会などで示されています。

日本産業衛生学会
産業保健看護の定義

産業保健看護の対象は、すべての労働者および事業者であり、個人のみならず集団・組織をも含む。その目的は、健康と労働の調和を保つことであり、ひいては労働生産性の向上および持続可能な社会を実現することである。これらの目的達成に向けて、看護学を基盤として、経営的視点を念頭に置き、かつ公平・公正な立場から事業者と労働者の自主的な取り組みを支援する。産業保健看護専門職は、系統的な情報収集およびアセスメントにより抽出された個人・集団・組織の健康課題を連動させながら、課題解決に向けて事業場内外と連携を図り、協働および仕組みづくりを行う。これらを通して、労働に関連する健康障害の予防、労働者の生涯にわたる自律的な健康行動の確立、労働者が健康で安全に働き続けることができる職場環境づくり、さらには職場風土の醸成に寄与するものである。

https://sangyo-kango.org/wp/?page_id=23

日本産業看護学会

産業看護とは、産業保健における看護専門分野であり、働く人々が健康と安全の保持増進を図れるように支援することを目的とし、これらを通して、働く人のQOLならびに組織の生産性の向上に寄与するものである。

産業看護職は、産業保健専門職チームの一員として活動する。産業保健専門職は、事業者が労働者の協力を得て、産業保健における事業者責任を果たせるように、事業者・労働者双方に対して、公正かつ中立を旨として、チームで支援する。その活動にあたっては、関係者・関係機関と連携・協働し、個人・集団/組織に対して、組織的に支援する。

産業看護職は、健康に対する対象者・対象集団/組織の反応を診断し、問題解決やポジティブヘルス推進を支援する。対象者に対しては、個人を全人的にとらえ、価値や生きがいを尊重し、その自助力に働きかけ、労働生活への適応を支援する。対象集団/組織に対しては、これらを包括的にとらえ、それぞれの実情を勘案し、作業条件ならびに職場環境を整備する自主的活動を支援する。

https://www.jaohn.com/definition

臨床では看護ケアはわかりやすいのですが、産業看護の場面だとどうしてもぼやけてしまうことがあるかと思います。でも、立派なケアや支援をしているな!と思い、つらつらと書きます。

ケアは別に人を対象としているわけではない。

少し話を脱線しますが、ケアはいろんなところで発生しています。
例えば、家の中では、トイレットペーパーが切れてたら新しく補充する。洗濯が終わった洋服を家族がクローゼットにしまう、朝、起こしてもらう。ゴミ袋をセットする。会社に行くとトイレ掃除をしてくださっている人がいる、ごみ箱をきれいにしている人がいる、社員が仕事をしやすいように見えないケアはたくさんある。それに気が付いている人がどのくらいいるかと思う時があります。家事もケアだと捉えることもできるかと。

産業看護の場面でもそうです。最終的には人にいきつくのですが、環境に働きかけることができるか、看護職が直接本人へケアをするのではなく、本人の行動変容を促す、本人の周りの人と関わって支援していくのは看護ケアだなと最近になって思うようになりました。それらは頭のなかでアセスメントをして導き出されていくもの。産業医からの指示もありますが、そうではなく、看護職自身がアセスメントを行って課題や支援方法の見立てをたてていく。これができるかできないかで仕事の質が大きく異なると思います。

どうやって身につける?

アセスメントは看護過程の最初の部分なので、臨床のご経験のある方はなんとなくわかるのではないかなと思います。今は品切れ中になりつつあるようなのですが、こちらも参考になるかと思います。

ケアの生産性について考えるとケアそのものは手間がかかり面倒なことが多い。そのため、効率性主義の社会や組織には合わないことが多い。企業は最近は生産性を上げようと唱っているところはあるかと思います(創造的な仕事をしようよと)。看護ケアが最終的に、集団・組織の生産性を上げることに寄与することはおそらく研究や文献などであるかなと思うのですが、ケアそのものについては、生産的かと言われるとそうではないことがあり、それを組織や上司にどう伝えられるか、日々考えることがあります。日ごろの業務改善は何かしら生産性をあげて仕事をするということに寄与しそうですね。

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