J3はこれで良いのだ。

 先日、J3第29節、奈良クラブvsテゲバジャーロ宮崎の観戦に行ってきました。今回はその時の感想です。

残留争いが生み出した緊迫の試合展開。

 昨シーズンからJ3とJFLのスタート。昨シーズン末での入れ替えはなかったものの、今季はJFL上位をライセンス有するクラブが上位を占めており、J3の下位に沈むクラブは、まさにお尻に火が付いた状況でリーグ戦を戦っています。このカードの2クラブもその当事者であり、奈良が18位、宮崎が17位で勝点1差。19位のYSCC横浜は奈良と同じ勝点であり、この試合の結果次第では、どちらかが降格圏に落ちる可能性のある一戦です。
 試合は立ち上がりにホームの奈良が先制、その後、宮崎がすぐに追いつくも、前半終了間際に奈良が勝ち越しゴールを上げて後半に入ります。一進一退の攻防が続くもゴールが生まれず、試合はアディショナルタイムへ。アディショナルタイムにリードする奈良の下川選手が遅延行為でこの日2枚目のイエローカードで退場となると、直後のコーナーキックから宮崎が同点ゴールを上げて、タイムアップ。最後の最後まで縺れた死闘は引き分けでの決着となりました。

試合内容に反してのどかなスタジアム。

 残留を賭けか白熱の一戦は非常に見応えと緊迫感のある内容でした。しかし、ピッチの雰囲気に反してスタジアム全体には非常にのどかな空気が流れていました。
 当日はシニアデーと言うことで、キックインセレモニーを行ったのは、地元シニアサッカークラブ所属の78歳のおじいちゃん、ハーフタイムには、平均年齢70代後半の女性ダンスサークルによるパフォーマンスも行われていました。場外には10店舗ほどのキッチンカーが軒を面ね、テントに設置された休憩スペースで家族団らんの時間を過ごす様子も見られました。入場者数は1,229人と少し寂しい数ではありますが、ゆっくりと過ごすという点においてはちょうど良い人数だったかもしれません。

週末にサッカーがある楽しみ。

 特に終了直前の得点前後のジャッジの影響で、奈良クラブサポーターから審判にブーイングが飛ぶ場面はありましたが、それ以外は終始穏やかな雰囲気で、勝ちきれなかったもののチームには温かいエールが送られていました。関西に住む私は、J1ならセレッソや京都、J3ならFC大阪の試合にお邪魔することがありますが、J3にはJ1と違う独特の緩さ・暖かさがあり、それこそがJ3の魅力なのではないかと思います。地域に人々に手の届く存在であり、なんならたまに自分もスタジアムに立ててしまう。週末にそこまで混雑しない場所で、食事とスポーツを楽しめる。もちろん、試合に勝ってカテゴリーを上げていくこともクラブのステータスのひとつですが、誰もが気軽に楽しめる地域の憩いの場になることもまた、クラブのステータスなのではないでしょうか。
 日本各地に魅力ある独自のサッカーがある風景が広がることを願っています。

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