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同窓会【消しゴム顔】(毎週ショートショートnote)


中学校の卒業以来だから15年ぶりだ。
もう30歳か。
懐かしい顔が三々五々集まってくる。
結婚した者、子供がいる者。
独身を謳歌しているバリキャリも。
それでもやはり面影は残っていて、すぐにあだ名や名前が出るものだ。


あれ?あの彼女は誰だ。
紙袋を持って入口に立っている。
あんな綺麗な子、いたっけ。
傍にいるレイコに尋ねてみる。
レイコはチラッと視線を送り、知らないわとそっけない。
そういや、中学の頃からマウント取りまくってたもんな。


驚いたことに彼女はすっとこちらにやってきた。
ひさしぶり。
ごめんなさい、あなたのような綺麗な人、忘れるわけないのに。
レイコの口調は苦々しい。
そうよね。
そう言って彼女は紙袋から卒業アルバムのページを開いて見せた。
ひとりの女生徒の顔が、修正液で塗りつぶされている。


ほら、あなた、私の顔を消しちゃったから。
思い出した?
彼女の手からキラキラしたものが放物線を描く。


そしてレイコの顔が消えた。



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