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普通に生きてるってすごい

ここ数日、というか数ヶ月、ちゃんと熟睡した感じが皆無だった。
だからなのか、朝起きられず、起きても頭の中にもやがかかったかのよう。
ほぼ毎晩、寝言がすごいとか。わたしの頭はちっとも休んでいないのだろう。
だからなのか日中も眠くて仕方がない。
いつもぼんやりと重い瞼と頭。
やる氣が起きない。
この『氣』が枯れるとひとは何もできなくなるのだ。
特に何があったわけではないが、毎年夏になるとこの傾向が強くなる。
引き金は暑さだ。

いわゆる更年期に差し掛かかっていた数年前は特に酷かった。
仕事も到底出来る状態ではなかった。
電車はすぐに遅延する。暑さの中でホームで待っていると気を失いそうになる。
何度か実際倒れたこともある。
夏はわたしにとって鬼門だ。
自分の体に起こるこの異常な体調不良が何なのか。寝ても起きてもぐるぐると視界が回る。
かろうじて飲み物だけは摂取できた。
食べ物はほとんど受けつけない。
頭の中はひたすらこの世の終わりだ。


何もできない情けなさ。
歩けない。
仕事もできない。
外出できない。
眠れない。食べられない。
階段を上がるだけの氣力もないので、リビングに布団を敷き、家族の邪魔になりながらもそこで丸くなるしかなかった。
こんな自分が不甲斐なく惨めだった。
わたしはもう一生このままなんだろうかと薄いタオルケットにくるまりながら涙が出た。


あとから更年期鬱という症状があることを知った。
きっとそうだったのだろう。
とにかく不安になり、ネガティブシンキングから逃れられなくなるのだ。
去年もそうだった。たしか暑さが異常な厳しさだったはずだ。眠れなくなり、ふらふらになって病院に行き、睡眠導入剤や抗不安薬などをもらってきたのだ。一度飲んだら、なんとなく症状が緩和されて、それきり服用しなかった。
正直、薬に頼りきりになることを恐れていたからだ。


そして今年もその恐るべき夏が近づいてきた。
わたしの体は異常に高くなる気温や湿度に呼応するように急激に体調が悪化していった。
毎日のメッセージを引くことをすぐさま放棄した。まともに座っていられず、やってられないのだ。
仕事も休んだ。
迷惑をかけるのは重々承知の上で休みをいただいた。それでもその翌日には何がなんでも出社しなければと神経は逆立っていた。
すると休んでくださいと温かい気遣いをされた。熱は下がったものの、まだ少しふらついていた。気温も34度。
休ませて頂いて助かった。
ひさしぶりに昼間に寝た。それでもまだ頭のモヤは晴れない。
食欲は戻りつつある。
きゅーっと絞られるような胃の痛みも無くなった。

具合が悪い。
氣分が乗らない。
そんな時は休んでください。
何を言われようと休んでください。
自分を守るのは自分しかいない。
迷惑はかけてかけられてお互い様。

普通に歩ける。
普通に食べられる。
普通に外出できる。
普通に仕事ができる。
あたりまえはあたりまえではなかった。
たまにこんなことがあるとあたりまえがどんなに有難いことかわかる。
普通に生きてるって実はいかにすごいことか。どれだけのことを『普通だから』とないがしろにしていたのだろう。
今、神様が休む時間を与えてくれた。
そう思って、わたしはまた寝ることにしよう。


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