ここ1か月ほどネットで俎上に載せられ、炎上中の｢サシハラスメント｣について。アイドルライター歴30年のおっさんライターが思うこと

ネット上において、ここ1か月ぐらいやたら目にするサシハラスメントというワード。ジャニーズ性加害問題以降の流れを踏まえると、なるほど、一見して、かなりシビアでナーバスな問題のようにも思われる。が、批判・非難派の言い分に接するといまいち乗れないものがある。

ダラダラ書いてもアレなんで、率直に書いていくが、まず、被害者の姿が見えてこない。そう書くと｢13歳とか未成年の子が無理矢理キスされてるじゃないか？｣｢映像見る限り、やられてるほうはめちゃめちゃ嫌がってるし、実際、番組内で苦情的に告発してる子もいるじゃないか？｣と言ってくるに違いない。

そりゃまあ、テレビで、公の場で、ティーンのアイドルの子が｢キスされて嬉しいです｣とは言わないだろう。当たり前のこと。

彼女らが指原さんに対して訴えを起こしたなら、そりゃ話は別。大問題として受け止めなければならない。

非難派の弁を見ると｢先輩に対して嫌とは言えなかった。訴えずに泣き寝入りしたら、それで許されるのか？｣云々。

うーん、そんなにオオゴトなのか？   仮に指原さんが一般人の子(熱烈なファンでもいい)に無理くり手前勝手にキスしたというなら言い分はわかるが、そうではない。あと、くだんの本人たちからあらためて｢嫌だった｣旨本心を聞いた、彼女らが言ったというなら話は別だが。

指原さんのHKTに限らず、AKBでも、グラドル同士でも、女の子のアイドル間のそういうキスやらスキンシップやらの行為は、昔から別に珍しくない。いまに始まったことじゃない。いまに始まってるのは、アイドル界というものを深く知らない者による言説だ。

ネットを見ていたら、こんな文言も見かけた。｢本人の同意不同意に関わらず、13歳の子にキスなんかしたら完全に未成年淫行でアウトだろ｣。

法律的に｢未成年淫行｣という言葉を出されると、確かにドキッとする。一瞬、頷きたくもなる。ただ、周知のように、｢淫行｣という言葉の定義は極めて曖昧だ。

上記の定義を見て、指原さんのケースに完全合致するといえる人は少ないように思われる。いや、合致すると思う人がいてもいい。ただ、そこから、それ以上、最高裁の判例相手に自説を100％正論として押し進めるのは難しいだろう。指原さんは別に、誘惑も威迫もしてないし、自己の性的欲望を満足させるためにやったわけではない。反論はいくらでもできる。

再三書くが、キスされた本人が指原さんを告発したり、訴えを起こしたのであれば話はまったく別だ。

｢(法律はともかく)逆らえなかった13歳の子がかわいそうだ｣と言うが、アイドルやバラテエィを長年、仕事的に見てきた者として(ちなみに自分はグラドルをテーマにしたバラテエィ番組に審査コメントの立場で一度出演したことがある)、自分はそうは思わない。

アイドル界には長年培われてきた独特の世界や流れがある。それらは、ある種、閉鎖的な価値観、規定概念と言っていい。アイドル・ファンを自認する者なら、よーくわかることだろう。はたして、くだんの番組や言動を、HKTファンはどう見たか。どう考えても、間違いなく大半がノー・プロブレムで見ていたはずだ(バラテエィ的におもしろいか否かはまた別の問題)。

非難派は言うだろう。｢じゃあ、お前はああいう行為を、いまもやってもいいと思っているのか？｣。テレビはダメだろう。ただ、アイドルやグラドルが個人で運営しているYouTubeやインスタでやるのは、特になにも思わない。女の子同士、納得のうえでやるのであれば。ファンも納得で観ているのであれば。

非難派は言うだろう。｢いま、彼女の弁明は必要じゃないか？｣。確かにそういう場はあっていい。ここまで騒がれたら、ぜひやっていただきたい。だが、彼女がなにを言っても、ネットでワーワー非難、全否定する人間が一定数いるであろうことを考えると、彼女次第というしかない。

指原さんはバラテエィ(『有吉反省会』など)で、過去、何人もの巨乳グラドルの胸を｢チェック｣と称して揉んできているが、あれらに関しては非難派の面々はどういう認識をお持ちなのだろうか。ちょっと(かなり)気になる。

いま、個人的に思うのは、仮に指原さんの言動がアウトなら、以下の行為(一度だけじゃない)は一発退場だろうということ。もろダウンタウン・ジェネレーションの自分もこれらの行為は笑えなかった。

2016年放送の『ダウンタウンなう』でダウンタウンと村上さんらはこれらの件に関して言及しているが、目下の時勢を踏まえて、あらためて話を聞いてみたい感がある……。

最後にもう一度。いまは大人になっているであろう、キスされた本人らが指原さんを告発したり、訴えを起こしたのであれば話はまったく別だ。大問題として受け止めるのは当然の話だ。