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トラウマを克服する

いまだに私は、中学生のときに経験したトラウマを克服できていない。

中学1年生のはじめ、大好きな親友2人から絶交された。いまだったらうまく対処できていたのかもしれないけど、あの頃は絶望だった。

小学生の頃、私は引っ込み思案な性格でちゃんと話せる友人は1人くらい。「机と一体化してしまうのでは?」と思うほど、ずーっと一人でいた。

というのも、当時から周りと溶け込まないことを自覚していた。毎週木曜日のロング昼休みに開催されるけいどろ(けいさつが1人のどろぼうを捕まえるゲーム)は苦痛で苦痛で、自分が泥棒の番になったらすぐに捕まっていた。

また、周りより背が高く太り気味の私は、人から何かと容姿について言われることが多かった。「会話するたびに、容姿のことを言われるなら話さないほうがマシ」と思っていたのかもしれない。人から放たれる言葉に繊細な子どもだった。

そんな矢先、私に転機が訪れる。

小学5年生のクラス替えで友人ができた。小学生とは思えないような、頭の回転が速い発言をする彼女と話すことが、とても楽しかった。彼女といる間に私の性格はみるみると明るくなった。いや実際のところ、家ではベラベラとしゃべる子どもだったので、自分を出せるようになったというほうが正しいかもしれない。

私はその子と毎日過ごすようになった。移動教室の時も、昼休みも、放課後も。その子の幼なじみとも仲良くなって、3人でいっつも一緒にいた。

そしてあっという間に時は過ぎ、卒業式。

私はある衝撃を受けた。卒業アルバムでみんなが書いたことがあるであろう「○○な人ランキング」(わかる人はわかる)。その中の「おもしろい人」部門でなんと私が1位に選ばれたのだ。2人一緒にいたおかげで、私の笑いも磨かれた。

容姿のことばかり言われていた私が。おもしろい人に認定されるなんて。私にとっては大ニュースだった。机が友達だった私が人に認められた気がしたから。

そんな2人とはずーっと大人になるまで一緒にいると思っていたのに、中学生1年生になってすぐに、突然別れを告げられた。しかも当時親に懇願して買ってもらった携帯のメールで。

「りさはしつこいからもう友達ではいられない。もう今後一切遊ばない」

頭は真っ白。中学1年生、新しい環境に慣れていない時にドーンッと崖から突き落とされたようだった。私はどこから接し方を間違えたのかまったく分からずにいた。

「私はしつこいから、人との距離を保たないといけないんだ」

それからというものの、私は人と一定の距離を保つようになった。しつこいと嫌われると思って、人と距離をとった。友達とも恋人とも。

「りさはなに考えてるか分からない」と言われても、嫌われるより良かった。

なぜ、急にこのトラウマについて書いたかというと、最近このことを大学からの親友2人に打ち明けた。2人は「ぜひ文章にして!」と言ってくれた。

この話は自分にとって辛い記憶。できれば思い出したくないこと。だからほぼ人に話したことがなかった。親友に打ち明けたあとは自然と涙が出た。

その時「あー、私にとってまだトラウマだったんだ」と気づいた。話し終わった途端、自分の体からスーッと何かが抜けていった気がした。

話すのがすっごく怖かったけど受け止めてくれた。
この話ができる親友に出会えてよかった。

トラウマが完全に消えた訳じゃない。いまだに人と仲良くなりすぎるのは怖い。でも、これからはちゃんと自分の言葉を人に伝えようと思えた。

中学生の頃、あんなショッキングな経験をしていなかったら、私はどんどんしつこい人間になって、人の気持ちなんて省みない「人間」になっていたかもしれない。そう思えば、あの辛い経験は私にとって必要だった。

15年前の自分に「いま、私は幸せだ」と胸を張って言ってあげたい。

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