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学習には困難が必要

前回、効果的な学習法の記事を投稿しました。

今日は、前回の内容をもう少し掘り下げていきたいと思います。

困難を伴うほど学習効果が高まる

前回の記事では、一つのことを集中して繰り返す「集中学習」は非効率であるとお話ししました。

「集中学習」が非効率である理由を前回とは別の観点から説明すると、知識や技術を思い出すのが簡単であるほど、記憶を定着させる想起練習の効果は少なくなるからです。

逆に言うと、記憶の中から思い出したり、技術を使ったりする時に努力するほど、学習効果が高くなります

「集中学習」では同じことを集中的に繰り返すため、思い出すのが次第に簡単になり努力を必要としなくなるため、学習効果が薄いわけです。

困難を伴うことで学習効果が高まる他の事例を紹介します。

・文字がぼやけていたり読みづらいフォントが使われている方が、読者は内容をよく憶えている
・講義が教科書の順番通りに行われるのと、少し順番が違う場合とでは、後者の方が憶えている
・文章の中の単語がいくつか欠けていると、その文字を補うため読むのは遅くなるが、記憶は長持ちする
・選択式のテストより記述式のテストの方が学習効果が高い

中には意外に思われるものもあるかもしれません。
「直感的に正しいと思われている学習法が実は非効率」であることがよくわかると思います。

「適度な困難」が重要

ただ、学習に困難が必要とは言っても、困難なら何でもいいわけではありません。

学習における望ましい困難とは、学習者が努力すれば乗り越えられるものであることが条件です。
学習者が努力できる範囲を明らかに超えた過剰な困難を与えてしまうと、学習どころではなくなってしまいます。

例えば、
・小学生の野球少年にプロ野球選手の150kmのボールを打たせる
・幼稚園児に大学受験の問題を解かせる
みたいなことをやらせても、何の学習にも成長にもならないことは想像に難くないと思います。

「学習には困難が必要」を過大解釈してしまうと、前時代的な軍隊式教育や脳筋体育会系指導などを良しとしてしまいかねません。
教育・指導に携わる方々はくれぐれもお気をつけください。

失敗が不可欠

最後に、学習における重要な心構えを取り上げます。
それは、「失敗を恐れない」ことです。

・テキストを読み返すばかりで問題を解こうとしない(インプットばかりで行動しない)
・「集中学習」によって目に見える結果をすぐに得ようとする
・なるべく困難を避けて学習しようとする

これらの行動の根底にあるのは、「失敗したくない」心理なのではないでしょうか。

しかしながら、新しい知識を身につけるには、間違えることが不可欠であると現在の認知心理学研究で明らかになっています。
学習において失敗が不可欠なのは、失敗からしか学べない、うまくいくことといかないことの違いがあるからです。

トマス・エジソンは失敗を「成功の母」と呼び、

「失敗はしていない。うまくいかない方法を一万通り見つけただけだ」

と語りました。

スティーブ・ジョブズは、アップル・コンピュータから解雇された時のことについて、

「そのときにはわからなかったけど、アップルを解雇されたのはぼくの人生に起きた最高のことだった。成功しなきゃならないという重圧から解放され、すべてが不確かな初心に戻ると、気持ちが軽くなった。おかげで、人生でいちばんクリエイティブな時期を迎えることができた」

と語っています。

学習効果を最大化するために、困難を歓迎し失敗から学ぶ姿勢で、日々の学習に取り組んでいきましょう。

それでは、今回の記事は以上です。
お読みいただきありがとうございました!

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