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効果的な学習法は直感に反する

新しい知識を取り入れたり、スキルを身につけたりするために「学び」に力を注いでいる方は多いと思います。

貴重な時間を「学び」に割くわけですから、効率的に学びたい、非効率な学習はしたくないと誰しも考えることでしょう。

しかしながら、効果的だと思われていた学習法が実は非効率だったと最新の研究で明らかにされています。
例えば以下のような学習法。

・テキストに線を引き、頭に入るまで何度も読む
・答えを覚えるまで短期集中で反復練習をする
・できるだけ楽に学べるよう工夫する

学生時代の試験勉強や資格試験の勉強において、上記の学習法を採用してきた方は多いと思います。
これらの学習法、実は全て誤りです。

今回は、認知心理学の知見から効果的な学習法を解き明かした一冊『使える脳の鍛え方』を参考に、学習法に関する誤解について解説していきます。

「日々の学びを血肉にして、確実に成長していきたい」
「一人でも多くの有力な人材を育成していきたい」

とお考えの方は、ぜひ続きをお読みになってみてください。

教材の復習は非効率

最初に取り上げるのは「テキストを何度も読み直す」という学習法について。
冒頭で取り上げたように、これは非効率な学習法です。

その理由は、テキストを読み返しても記憶に定着しないからです。

認知心理学の研究によって、「記憶とは想起すること」と明らかになりました。
つまり、知識は思い出すことによって定着します。

テキストの復習では「想起(思い出す)」が行われないため、記憶に定着しないというわけです。

ではどうすればいいかというと、テストを行うのです。
テストは「学習の習熟度を測る手段」として用いられるのが一般的だと思います。

しかし、テストは「学んだことを記憶から引き出す学習ツール」として使うことで大きな効果を発揮するのです(テストによる学習効果を「テスト効果」と読んだりします)。

集中練習は非効率

続いて取り上げるのは「集中練習」です。

何かを効果的に習得する秘訣は、1つのことを完璧にできるようになるまで集中して行うことであると、多くの人は信じています。
一つのことを集中して行うと、効果が目に見えて表れるので一見効率的なように見えます。

しかし、この「集中練習」も実は非効率です。
それは、「集中練習」によって学んだことはすぐ忘れてしまうからです。

集中練習の代わりに有効だとされている練習は、以下の3つです。

・間隔練習(間隔をあけて学ぶ)
・交互練習(複数の科目や技術を交互に学ぶ)
・多様練習(種類の異なる練習を組み合わせる)

「間隔練習」が有効な理由は、時間の間隔を空けて思い出すことが「テスト効果」を最大化させることになるからです。

「交互練習」「多様練習」は、ある課題が身についていない状態で別の課題を取り入れるため一見非効率に感じられます。

しかし、これらの練習には

・解決すべき課題の種類の見極めを必要とする
・適切な解決策を選ぶ方法を学ぶことにつながる

といった特徴があるため、判別力が高まり学習と記憶の強化が行われるメリットがあるのです。

逆に、同じ種類の問題ばかりを繰り返す「集中練習」では、問題の種類とそれに適した解法を判別する力は身につきません。

例えば数学で単元ごとに特定の種類の問題だけを解き続けていても、試験で多種多様な問題が出題されたら、どの解法を使えばいいか分からなくなってしまうでしょう。

人間の直感はアテにならない

というわけで、記事の内容をまとめると以下のようになります。

・記憶を定着させたいなら、テキストの再読ではなくテストを行う
・テスト効果を最大化させる方法は「間隔練習」「交互練習」「多様練習」の3つである

人間が直感的に正しいと思っている学習法が実は誤りだったことから、

「人間の直感ってアテにならないんだな」

と思った方もいらっしゃることでしょう。

直感に依存しすぎず科学的な知見を積極的に取り入れていく姿勢が、学びにおいて重要なのかもしれませんね。

それでは、今回の記事は以上です。
お読みいただき、ありがとうございました!

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