朝のハーブティー
今朝は用事があって早く起きた。朝の4時半。まだ太陽は上らず周りは墨色。ただ鳥の優しいさえずりから、もうそろそろ夜明けが近いのだろうなと思う。鳥の声も、控えめでなんだか眠そう。
他のひとを起こさないように、アラ-ムを消して、そーっと起き上がる。台所でお鍋に水をいれて、火にかけ、その間に洗面所で身支度をする。台所にもどって、湧いたお湯にハーブを放り込む。葉に直接ふれるのが好きなので、小袋に小分けにされたものではなく、日曜日の朝市で、農家の人たちが栽培して摘み、乾燥させた葉っぱを買ってくる。
組み合わせはその日の気分で選ぶ。今日はミントにレモンバーベナ。透き通った大き目のガラス瓶から適当に数枚をつかみ出し、お湯の中に入れる。ミントの葉は灰色がかった緑色、これは目覚ましで。レモンバーべナの葉っぱは、黄緑色で細長くてふちがぎざぎざしている。ちょっと桃の葉に似ている形だと思う。レモンとまではいかないけれど、柑橘系のさわやかな香り。お湯に触れるとしわしわで縮まってっていたのが、ゆっくり元の長さに戻ってゆくのが不思議で楽しい。お風呂の中でう-んと伸びをしているみたい。まだちょっと寒い空気中に、優しいにおいがゆっくりと暖かく広がってゆく。
足元にふわっとふれるものを感じて、下を見ると、うちの猫が尻尾を絡ませてきた。食いしん坊の雄猫のご飯の催促。きのう焼いたイワシがあるのを覚えているので、乾燥ペットフードには見向きせず、お魚のお皿の前で待っている。でも私、今時間がないしごめんね、またお昼にね。2匹用のお茶碗2つのうち1つが空になっているので、猫用ドライフードを入れてあげる。お茶椀が2つともいっぱいになったのを確認すると、ふんと鼻を鳴らし食べずに台所を出ていく。ご飯がいつもあるように、お茶碗が1つでも空になったら「(人間に)ごはん入れてね」と催促する、と彼らの間できちんと決まっているのである。
そのあと、ちょっとしてリビングの方で悲鳴が上がった。慌てていくと、雌猫の毛が束で抜けている。雄猫が雌猫をいじめたらしい。やつあたりだ、魚をもらえなかったから。私にあたれないから、弱い方にそれを持っていく。これは権威への怖れというものかしら。
仕方がないので、冷蔵庫から手早く焼きイワシを取り出して、料理ばさみで手早くぶつ切りにして、あげる。本当はあっためてあげたいけれど、今は時間が足りない。今度は雌猫がいそいそとやって来る。彼女は魚はあまり好きではない。茶色の彼女は、ふわふわの前足をきちんとそろえて、待っている。鶏派の彼女は、やはり昨日の鶏肉の残りがあるのを、ちゃんと知っている。そうだよね-と、また冷蔵庫を開けて鶏肉のゆでてミキサーにかけたのを取り出し、これはぱさぱさするので、スープを少し足して、食べやすくして前に置いてあげる。この子は礼儀正しくて、食べる前に私の顔をちらっと見る、まるでありがとう、とでもいうように。
さっきまで喧嘩していた2匹が、近距離で黙って大人しくそれぞれのごはんを食べている。そのあと、やっぱり同じ距離、1メートルくらいを保ちながら、ソファで仲良く寝始める。近すぎるとけんかする。でも離れすぎれば、さびしい。小さい時は、寝る時も遊ぶときもいつも一緒だったけれど、大人になったら、自分のお城が必要みたい。昼寝の場所、夜寝る場所は違うところで、でも遊ぶ時だけ、誘い合っているみたい。
距離感というのは、大人になると変わっていくものなんだね。家族でも夫婦でも、友達でも。猫はかわいいだけでなく、本当に色々なことを教えてくれる、私の大切なたからものたち。
今日も読みに来て下さってありがとう!あしべはるかでした。
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