日常を抜け出して
朝起きてカーテンを開けたら、とても天気がよかった。
すっきりと晴れ渡った青い空。
景色が遠くまで見渡せるということは、きっと空気も澄んでいるのだろう。
これは家で過ごすのはもったいないなと思い、部屋の掃除と身支度を終えると、どこに行こうか考えた。
わたしにはあまり縁のないイベントではあるけれど、今日はクリスマスイブ。
こんな日にひとりで市街地や繁華街に行ったら、さすがに虚しくなりそうだ。
———ふと、ひとつ行ってみたかった場所があったのを思い出した。
小京都的な雰囲気が漂う、昔ながらの町並みが楽しめる場所。
ここでも多少クリスマスを感じることはあるだろうけど、明らかにクリスマスムード満載と思われる場所に行くよりはいいかもしれない。
観光スポットをいくつか調べ、どの駅で降りるのか目星をつけると、わたしは家を出た。
***
イヤホンをつけ、窓の外の景色を見ながら電車に揺られる。
ユーミンの曲を聴きながら知らない街へと向かうと、それだけで非日常感が出る気がして楽しい。
やがて電車は乗り換えの駅へ。
駅の近くでお昼ごはんを食べ、今度は別の駅に向かって歩いた。
そこからさらに電車に揺られること、30分ほど。
ついに目的の場所に着いた。
マップアプリを開いて行きたかった神社へのルートを調べ、歩き始める。
すでに歴史を感じさせる古い建物がちらほらとあり、歩いているだけでわくわく。
しばらく歩くと、マップが細い路地を指した。
通れるのだろうかと思いつつ進むと、なんとそこにはお寺が。
これも何かのご縁かもと思い、こちらでも手を合わせることに。
こぢんまりとしていたけれど、境内はそこそこ人がいて賑わっていた。
お参りをして出ると、再び歩き始める。
すると、とても好みな雰囲気の古民家カフェが。
立ち止まって写真を撮っていると、中から店員のおじいさんが出てきて、「どうぞ、店内空いてますよ」と声をかけてくださった。
勧められるまま入ると、とっても和な雰囲気なのにクリスマスソングが聴こえてきて、思わず笑ってしまいそうになった。
ほろ苦いお抹茶と、ほんのり甘さを感じる抹茶風味のわらび餅。
席は廊下に面していて、引き戸を開けるとこれまた素敵な中庭が。
趣ある雰囲気を堪能した後、お会計をしに行くと、「今日も寒いですね、店内は寒くなかったですか?」と女性の店員さん。
全然大丈夫でしたよ、と答えると、良かったです、と笑顔で返してくださった。
お店を出るときも「この先もお気をつけくださいね」と出入口で見送ってくださり、とても丁寧な対応にこころがじんわり温かくなった。
***
カフェからそう遠くないところに、目的の神社はあった。
神社にくるといつも、こころが綺麗に清められたような、清々しい気持ちになる。
お参りをして出る頃には、わたしの気分も晴れ渡っていた。
次の目的地は、古い建物が立ち並んだ通り。
来た道を引き返して歩くと、現代風な住宅地から次第に雰囲気が変わり、木造の建物が続く町並みに。
こころ躍る、風情のある雰囲気。
ただ歩いているだけでも楽しくて、写真を撮りながらしばらくふらふら。
***
時間にすると電車で1時間ほど。
だけど、着いたらそこは遠くに旅行に来たのかと錯覚するような、趣深い素敵な町並み。
クリスマスらしさはないけれど、とても充実した1日になった。
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