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【#大好きな家族】拝啓、わたしの大切な家族へ。

君と出会ったのは、ホームセンターの一角にあるペットコーナー。
物心がつく前から動物が大好きだったわたしは、犬がいるコーナーをふらふらと歩いていた。
———そして、君を見つけた。

目が合った瞬間、「ねぇ、僕のこと連れて帰ってよ」って言われた気がして。
気づいたら、母に「この子飼いたい!」ってお願いしていた。

こうして家族になった、まだ小さな子犬だった君。
ロビンと名付けられた君は、幼稚園児だったわたしと一緒に大きくなっていったんだ。

***

びっくりするほど食い意地が張っていて、いつでも元気いっぱいだった君。
散歩中、ちょっとでも目を離すと拾い食いしちゃったり、飼い始めた頃は散歩中に脱走することもあったね。

庭で蜂に刺されて動けなくなっているのを見つけた時は、治らなかったらどうしようってすごく怖かった。
半泣きで知らせに行ったわたしに、母は「すぐに気づいて教えてくれたから治すことができたんだよ」と言った。

それから、いくつもいくつも思い出を重ねて。
君は10歳に、わたしは高校生になった。

——あれは、忘れもしない夏休みのこと。
リビングで宿題をやっていたら、玄関に置かれたケージにいた君がいつもと違う声で鳴いているのが聞こえた。
慌てて見に行ってみると、君はぐったりと横たわっていて。
外にいた母に急いで電話をして、病院に連れて行った。

喉にガムを詰まらせて上手く呼吸が出来なくなっていた君は、入院することになった。
つっかえていたガムを取り出してもらって、最初は具合が良くなってきていると聞いていたのに。
突然夜中に容体が急変して、見送ることもできないまま、君はひとりで虹の橋を渡った。

最後に会った君の身体は、硬く、冷たくなっていて。
手のひらから熱が伝わったらもう一度温度を取り戻すかもしれない、そんな馬鹿なことを考えながら、わたしはひたすら君の身体に手を当てて大声で泣いた。

辛かったよね、苦しかったよね。
最期を看取ってあげることができなくて、本当にごめんなさい。

わたしの横で静かに涙を流していた母は、ロビンの異変に気づくのはいつもひだまりだったね、と言った。
きっとロビンも、気づいてくれて嬉しかったと思うよ、と。

夏に生まれて、夏にあの世へ旅立った君。
9年経った今も、君はわたしの心の中で生き続けているんだよ。

もし、この先わたしが人生を終えて再び生まれ変わったら。
同じように生まれ変わった君に、もう一度出会うことができるかな?

どうか、それまで君が、元気で幸せでいてくれますように。
天国にいる君へ、愛を込めて。


***

江村恵子さんの企画に参加させて頂きました…!
一人っ子のわたしにとって兄弟のような、そんなペットの話を書きました。
江村さん、心温まる企画を立ち上げて下さり、本当にありがとうございました🌼

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