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ご存知でしたか?サンドイッチの食パンは火で焼いていないんです。

こんにちは!
OHISAMAの薪窯食パン職人ノムさんです。
薪窯で食パンを焼いていると言うと、火で焼いているって思っていませんか?
でも実際には、食パンを焼く時には火は消えています。
え?じゃあ、写真の炎は何かって?
はい、あれは食パンを焼いているんじゃなくて、石を焼いているんですよ。
正確に言うと、1200℃の高温まで耐えられる「耐火レンガ」と桜島の溶岩石を加工した「石板」をガンガンに焼いています。
石って焼くと蓄熱して、「直射熱」と「輻射熱」を放出するようになります。
その「輻射熱」、遠赤外線とも呼ばれてるんですが、は物質を突き抜けて温める不思議な性質があります。
薪窯はこの性質を利用して、食パン生地のような10センチ以上もある分厚いものでも、水分を閉じ込めたまま比較的短時間で焼き上げる、優れた調理装置なのです。
ね、いろいろ分かってくると薪窯ってなんだか面白くないですか?
そして面白いのはその構造も。
当店の薪窯は3階建てで、3階が「食パンを焼く部屋」、2階が「薪を燃やす部屋」、1階が「灰を溜める部屋(通気口の役割も)」になっています。
2階の部屋で薪を燃やし始めると、1階の部屋から空気が吹き込んでくるおかげで、積み上げられた薪の下の方にも酸素が行き渡ってよく燃えます。
そして薪が燃え尽きると灰になって自然と1階に落ちていってくれるところなんて天才でしょ!
さらに3階の部屋が「綺麗なまま」なんてもう神!
宮島時代は薪窯の構造が1階建ての原始的なものだったので、パンを焼くのも、燃料(杓子を作る時に出る端材)を燃やすのも同じ部屋。
だから灰をゲホゲホしながら掻き出して、焼き床をモップがけして綺麗にする必要がありました。
その仕事が不要な3階建ての薪窯を考えた昔の人は本当に偉いです!
けど、しっとりもちもちの美味しい食パンを薪窯で焼くためには、やっぱり神様はノムさんに試練を与えられるわけであります。
炎の吹き出し口にある金属は、炎の方向を変えて部屋の隅々まで熱するための道具なんですが、重さ15キロ近くあります。
名前を「グラ」と言って、これを熱風に耐えながら細い引っ掻き棒で回転させなくてはならないんです。
どなたか、スマホで「グラ」を操作できるアプリを開発してくれませんかねえ。