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薪窯はレンガだけでできてるんじゃないんです。

こんにちは!
OHISAMAの薪窯食パン職人ノムさんです。
ところで皆さんは薪窯と石窯の違いってご存知ですか。
薪窯は文字通り「薪」を燃やして熱した石から放出される輻射熱(遠赤外線)を利用して食パンを焼く、とっても原始的な装置です。
一方、石窯は「薪」だけでなく「ガス」や「電熱線」で石を熱するものもあります。
見た目で言うと、「スイッチ」が付いているかいないかの違いがあります。
じゃあボクがなぜ「薪窯」にこだわるかと言うと、建築資材の端材や間伐材を燃料にすることで、木材が廃棄されない仕組みや、森林保全にもつながる生産活動の一助になれば!という、熱い想いがあるからなんですね。
そしてそれは、皆さんが食パンやサンドイッチを召し上がっていただくことで支えられている、ってことを知ってもらいたいからなんです。
そうでなければ手軽な「石窯」でガスや電気でパンを焼いています。

さて、ここからが今月の本題「窯はなにで作られてるの?」です。
ボクやパン屋さんが「薪窯」や「石窯」を選ぶ理由は、輻射熱でパンをより美味しく焼きたいからです。

これまでもお伝えしてきたように、輻射熱には物質を突き抜けて温める性質があるので、食パンなどの分厚い生地でも、水分を閉じ込めたまま比較的短い時間で焼き上げることができます。
これが外は薄くパリッと、中はしっとりモチモチに焼ける魔法の秘密なんですね。
そしてその魔法をかけるための杖に当たるのが、窯の構造と素材です。薪窯には温度調節のスイッチがついていませんから、火が消えてしまうと温度がどんどん下がっていって食パンが焼けなくなってしまいます。
そうならないために多種多様な素材を組み合わせて、温度や輻射熱をコントロールしています。
「食パンを焼く部屋」の壁はなんと五層構造になっています。
内側から、耐火レンガ・耐火セメント・赤土・軽石・ブロックで、それぞれに役割があります。
炎が直接当たる場所には火に強い耐火レンガを600個以上も据え、輻射熱を大量に放出させるためにしっかりと蓄熱させています。
そして耐火レンガの隙間から熱が漏れないように、保温のため耐火セメントで完全に塗り固めます。
さらに保温性を高めるために赤土で覆い、一番外側のブロックとの間には軽石を敷き詰めて空気の層を作って、外気の影響を受けにくくする工夫を施しています。
ハリー・ポッターだったら魔法の杖をふって、「美味しく焼けろ!」って言うのかな。