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薪は燃えればどんな木でもええんじゃないんです。

こんにちは!
OHISAMAの薪窯食パン職人ノムさんです。
皆さんは、僕のお店の前に積んである薪をじっと眺めたことはありますか?
長い木、短い木、細い木、太い木と、実はいろんな形の木が混ざっているんです。
今日これからお話しすることを聞いてもらえば、薪を近くできっと見てみたくなりますよ〜。

例えば写真の真ん中にある、黒っぽい湾曲した木は近所の酒造メーカー・サクラオブルワリーアンドディスティラリーさんから頂いた旧い樽を解体したもの。
定期的に新しい樽と入れ替えているそうで、そのまま捨てると産業廃棄物となってコストがかかりますから、僕が燃料替わりに頂いてお互いにハッピーになる取り組みです。
ちなみにこれ、酔っ払いそうなくらいお酒の匂いが強いんです(笑)。
他にも永本建設さんからは家の柱や床などを作るときに出る建築資材の端材をいただいたり、薪ストーブのウッドストックさんからは森の間伐材を頂いています。
田舎のパン屋さんに見えて実は、持続可能な開発目標(SDGs)のうちのいくつかを地域内で一緒に取り組んでいます。
それもこれも、皆さんが食パンやサンドイッチを食べてくれるからこそなんですよ。

さてここからが本題です。
これらの木、燃えればなんでもいいってわけじゃないんですねえ。
木が湿気ていると燃えにくいし、食パンが美味しく焼ける温度まで窯がなかなか温まりません。
それに煙と一緒に水蒸気が煙突を抜けていくので、煤がたまりやすく、煙突が詰まる原因になって百害あって一利なしなのであります。
にわか雨が降り始めると、鬼の形相で猛ダッシュで工房から飛び出してビニールシートを木にかけるのはそのせい。
それから接着剤や塗料が付着している合板もだめ。
燃やすと有害なガスを発生させたりするからです。
釘とかネジがそのままになっているものもあって、有害ガスと同様に危険です。
脂(ヤニ)を多く含む松は、燃やすと高温になりすぎて煙突だけでなく、薪窯の金属製の部品を傷めてしまうし、灰と混ざってその塊が通気口を塞いで一酸化炭素を発生させる不完全燃焼の原因にもなっちゃうんです。

食材と同じくらい、薪窯職人にとって薪がとっても大事ってことを分かっていただけたら嬉しいです。