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薪窯の扉を開けとっても煙はこっちに出て来んのんよ。

こんにちは!
OHISAMAの薪窯食パン職人ノムさんです。
毎日すぐれない天候が続いていますねえ。
でもパン(生地も)は乾燥が苦手なので、湿度が高い梅雨から夏場は最高の季節なんですよ。
製造中に生地が乾燥すると硬くなって、それは焼き上がったパンになっても硬いまま残って、食感が悪くなります。
フルーツサンドだって乾燥が進んでパサパサしていると嫌ですよね。
ノムさんにとっては高温多湿の工房は辛すぎますが、美味しいパンのために頑張って焼きますよ。

さて、皆さんは上の写真を見て不思議に思うことはありませんか。
そう、煙がこっち側に出ていませんよね。
ノムさんも最初は不思議でなりませんでした。
実はあれ、温かく軽い空気が上昇して起こる気流のせいなんですね。

空気って温めると体積が膨張して、同じ体積の空気の質量は軽くなります。
ロウソクの炎のちょっと上に紙袋をかぶせると、少し浮き上がる実験をしませんでしたか?

薪窯の場合、薪を燃やして軽くなった空気や煙は、「燃焼部屋」から上の「パンを焼く部屋」へ昇っていきます。
だったら「パンを焼く部屋」から工房に煙があふれ出てきてもおかしくないのですが、一番奥の天井部分に穴が開いていて、そこに吸い込まれて行くのでそうはなりません。

煙はまだ旅を続けます。
「パンを焼く部屋」の上には煙道があって、一番奥から手前まで伸びて煙突と接続されています。
最終的には、屋根の上にある煙突の出口から煙は空へと消え、旅が終わります。

ちなみに薪窯が空気を引き入れる力のことをドラフトと言います。
昔、「バックドラフト」という消防隊の活躍を描いたアメリカ映画がありました。
あれは火事で部屋の空気がほとんど無くなった真空状態のところへ、消防隊員が扉をこじ開けて入ることで大量の空気が一気に流れ込み(ドラフト)、爆発して炎が戻ってくる(バック)現象を扱ったものでしたよね。

今回の煙の話を通じて薪窯に興味を持ってくれた方がおられましたら、
ホームページに「おひさまパン工房でできること」にバックナンバーを掲載しているので、そちらをぜひご覧ください(ノムさん)。