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あの日の君に恋をした。第10話

1通の通知が来たのだ。
大学の時に好きだった子からだ。
ただひでは今クラブに遊びに来ていたのだ。
とても楽しくハイテンション、ひでがハイテンションなのはとても珍しい。
そのため余計にメッセージが来るのは嬉しいことだ。

留学が来る前に関係は切れていた。
というより自然に連絡を取らなくなった。
そんな子からいきなりの連絡にひでは少し気持ちが上がっていた。
「留学はどう?げんき?」
なんか急に現実に戻された感じがする。
それでも返信をしてしまう。
「元気だよ。そっちは?来週日本1週間だけ帰るよ!」
全然返信が来ない。
ひでは少し心配性なのか、せっかくの連絡に対して返信を間違えたのか不安になっていた。

そんなもやもやしている中もう2通の連絡がきた。
「やっほー、久しぶり!」「そのクラブに友達行ってるんだけど見かけてないかな~?」
ココロからだ。
もう一か月以上顔も見ていない。
たまたま語学学校のクラスで一度席を隣にしたことがある程度の仲であった。
それもあり、少し喜びながら、クラブにいるよりその子と連絡が取りたく外に出た。
「見かけてないよ。」
そこからは軽く現状報告をした。
そしてその友達はお家でぐっすり眠っていたというオチで会話も終わった。
それからひではココロに誘われたイベントに個人的に行ってSNSに写真を載せたのだ。
「反応あるかな~」
その瞬間だ。
一通の通知が来ていた。
ココロからだ。
「え、いたの?」
もうその時はすでに帰っていたので、会う事はなかった。
ひでは少しだけ気持ちが高ぶっていた。
「会いたかったな~」
それに乗るようにココロも返事をくれた。
「わたしも~」
その流れで食事を誘った。
快くOKをもらえたのだ。
そして、一時帰国前に一回カフェでも行こうと誘ってみたのだ。
「え!行こう!」
なんて嬉しい返事なんだ。

気が舞い上がっていた。
当日も楽しみで仕方がなかった。

約束の3時間前だ。
「ごめんなさい、職場ではやく集合の連絡きて今日いけなくなっちゃった。」
あぁいつも通りの社交辞令だったのか。きっと今度のごはんもなくなるんだろうな。
「わかった。」
ただそれだけを返した。
その後だ。予想外の返信がきた。
正直僕は嬉しくて胸が高まった。
「来週のディナーさ、ひで君の友達でもはるを連れてく?」
ひではさっそく返事をした。
「僕は二人で行きたい!」
仲の良いはるには申し訳なさもあった。
ただひではココロと二人で話がしたかったのだ。
「え!嬉しい。1対1の方が話しやすくて良いって思ってた。」
シンパシーか?そう思うくらいこの子とは気が合っていた。
いや、周波数が合っていたのだ。

なごみからココロへの電波をつないでくれたのかと思っていた。
それくらい同じタイミングでなごみから連絡が来て、途絶えた瞬間、ココロから
来たのだ。
ひでは心のどこかからつぶやいた
「名前と同じでココロをつないでくれるんだろう。」

それから一時日本に帰国した。
ひでは感動のあまり力が抜けていた。
大阪乗り換えの影響もあり、半日大阪で遊んだのだった。
「お好み焼きうまい」「ミルクティーが180円で買えるの!」
なんと留学かぶれな人間だ。

その夜は酔っ払いの介護をしていた。全くの知らない子だ。
道で倒れていた。
話を聞いてみると二個下で未成年だ。
「さすが梅田だ。こわいこわい」
とひでは笑って見せた。
そしたらその子は笑いながら
「私、岡山から来てるんですよ~」
さすが、関西にいるということでオチもしっかりあったのだ。
その子の友達から電話がきた。
「もしもし、この子酔いつぶれてて、トイレ行きたいと言われて、歩ています。」
一旦元の店の下まで戻ろうと思って提案した。
そうすると電話先から少し丁寧であるがおらついた感じの声が聞こえた。
元の位置に戻ると男の子が千円を渡してきた。
しかし、年下からお金なんてもらえないと思い断ったのだ。
「ありがとうございます。」
社交辞令の天才かと思うくらいはやくお金をしまい酔いつぶれた子の介護をしていた。
それに連続して、もう一人の女の子が笑いながら声をかけてくる。
「あんな酔っぱらってる子とか持ち帰りやすいですよね」
ひでは疑われていた。
笑いながら同調だけしておいた。
そこからタクシーを呼び、家に帰らせたのだ。
また、ひでは朝まで一人になってしまったのだ。

それから疲れ早朝、空港に向かった。


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