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映画 ルックバック 肯定的な感想です

ネタバレがあります。
映画館にて視聴。

原作は去年電子書籍にて読了。
チェンソーマンからの流れでたまたま読んだルックバック。
結構好きな短編だったので映画化の第一報を聞いたときは期待していたのですが、上映時間が58分の中編映画ということを知ってちょっとテンションが下がりました。

もちろん長ければいいというわけじゃないですが、それにしても1時間を切るのはさすがに短い。
90分は欲しい。

そんな凝り固まった考えを吹き飛ばしてくれる快作でした。

自分に挫折を経験させた相手が、自分の一番のファンだった。
そこから生まれるドラマと悲劇。
原作に敬意を払いつつも、細かいところで原作を補填していく理想的な仕上がり。
なかでも四コマ漫画をちょっとしたアニメーションで動かす演出はとても印象的でした。
これを多用したりシャークキックをいわゆるアニオリ展開として挟めば、簡単に90分を超える作品にできたはず。
けれどそれをしなかった。

しないことで、より悲しさが際立つ。際立ってしまう。

物語は藤野と京本を中心に進んでいく。
というよりほとんど二人しか出てこない。
終盤に至ってはセリフもなくなっていく。
けれどしっかり、二人の気持ちはスクリーンから伝わってくる。

セリフ多めで演出過多。
近年の邦画の問題点だったはずが、世界的にもそんな作品が増えてきている昨今。
頭ごなしに悪いと決めつけるのはどうかと思うが、原作者の意図がしっかりと伝わるのであれば、ルックバックのように寡黙でありながら芯の通った作品が、こうやって上映されるのも悪くない。

なんて偉そうなことを言いつつも、最後の10分は涙をこらえるのに必死でした。

もしこうだったら。
古くは未来世紀ブラジル、ちょっと前ならラ・ラ・ランド。
現実が悲しいからこそ、IFの物語は強く輝いて濃い影を落とす。

それでも前に進む藤野。
そんな藤野の背中を押す京本。

一人の半生と一人の人生が58分に凝縮されていました。


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