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最後の通学路

2019/03/04
3月に入ってから、働いてる古着屋の前をたくさんの中学生や高校生が胸に花のコサージュみたいなのを付けて歩くのを見かける。卒業シーズン。

女子ふたりで自転車をおしながら帰る子たち、微妙な距離感で歩く彼氏彼女、この後プリクラ撮ろうとか言ってそうなグループ。染めてない髪や着慣れた制服や、くたびれた鞄やちょっと冷たい風さえなんだか胸を締めつける、気がする。

通ってた中学は1、2年と3年の下駄箱が分かれていて校門も別だった。1、2年の頃はテニスコートの裏の誰かの敷地と思われる道無き道を通って通学してた。あれがいちばんの近道だった。

一緒に通学してたのは家が近かったまゆ。朝はめちゃめちゃ機嫌が悪いあたしと、ずっと一緒に通学してくれて感謝しかない。いつもいつも家の玄関で待たせて悪かったなあ。

ものすごく覚えてるシーンがあって、今日は英語の単語テストがあるって日の朝。いつものごとく新体操の練習で疲れ切って迎えた朝で、単語?何それ?くらいの諦め腐ったあたしにアンダースタンドは絶対出るから覚えた方がいいと言ったまゆ。アンダースタンド、理解する。テニスコートの裏を通りながらふたりでアンダースタンド、アンダースタンドって綴り確認したなあ。

卒業式の朝もまゆと一緒だった。最後だからと写ルンですでいっぱい写真撮ったな。いつもの道といつもの制服で。

合唱コンで歌った大地讃頌とか、スキー教室で夜な夜な見てたテレビから流れてきた宇多田ヒカルのcolorsとか、卒業する頃に発売されたELTのソラアイとか一瞬で連れ戻される音楽ってあるよね。

さっき通った子たちはどんな歌を歌って卒業して、どんな音楽でいまを思い出すんだろう。通学路を懐かしむような大人にいつなるんだろう。

#おやすみゆめであえたら
#エッセイ
#通学路

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