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母の影

2020/09/18
親の背中を見て子は育つ、などと言われているがわたしは見すぎたのかもしれない。自分の中に母の影を感じる瞬間がものすごくある、ということに最近気づき始めている。

午前中にしか洗濯してはいけない。床掃除は毎日しなければならない。トイレは汚れたら都度掃除しなければならない。夜ご飯のおかずは多くなくてはいけない。24時間以上ご飯を保温のままにしてはいけない。布団は休みの度に干さなければならない。体調が悪くても学校や仕事に行かなければならない等々。

これらが守られなければ人生終わったも同然。人間以下、くらいのことを教えられてきた。でも全部嘘だった。どれか出来なくても死ななかった。

どうしてそうしなければならないのか?と疑う余地もなく、家では母が偉大だった。例えば金曜夜にベロベロに酔って帰ってきても、土曜の朝は5時だか6時だかに起きて掃除や洗濯をしていた。誰に強要されるでもなく、1週間ずっとそんな調子だった。そのくせ、誰にも感謝されない!わたしは家政婦じゃない!と怒り狂うことも多々だった(基本的にヒステリック気味)。

離れて暮らしてみて改めて思うけど、母は休むことができない人だなと。1日洗濯しなくても死なないよ、お皿洗うの明日でよくない?とか言ったこともあったけど(あくまで手伝わない高飛車な娘)火に油を注ぐかのごとく、結局2日分の洗濯するのわたしじゃない!などと言い返された。ああ、怖っ!

蛙の子は蛙とはよく言ったもので、紛れもなくわたしは母の子だ。朝は身支度で精一杯だから、仕事から帰ってきてから洗濯することにしてるんだけどその決断(大げさ)を下すまでめちゃくちゃ勇気が必要だった。母の影が色濃すぎる。

彼氏と暮らしている妹と連絡を取ることがたまにあって、生活どう?みたいな話をした時に甲斐甲斐しくお世話しちゃう、まるで母さんみたいで嫌んなると妹が言ってて笑った。わかる、わかるよ。色々やらないと気が済まないんだよね、頼まれてもないのにね。

お母さん、今日もわたしは元気だよ。お母さんの娘でよかったよ、とか言ってみて1日を終えてみる。

#おやすみゆめであえたら
#エッセイ
#母

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