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知らない

2018/12/20
「モー娘。の中で誰が好き?」これまでを振り返ってみても、一際ぎょっとする質問だった。小学3年の頃の話。

その当時モー娘。が全盛期だったようでクラス中の男子も女子もみんな好きだったようだ。駄菓子屋の10円か20円で引けるカードくじにはモー娘。のメンバーの写真が入っていて、好きなメンバーのを集めたりとかしてたらしい。でもあたしは1ミリも知らなかった。

給食の時間の放送で曲を聴く程度で、好きも嫌いもないくらい知らなかったけれどクラスメイトはねえねえどのメンバーが好き?誰がかわいいと思う?ってほとんど毎日それだった。自分が好きなんだしみんなも好きだよね、っていう押し売り。クラスメイトの世界の狭さに言葉が出なかった。

角田光代さんの対岸の彼女という本に、ひとりでいても怖くないような何かを身に付けようというような部分がある。この本を読んだのは大学生になってからだったけれど、でもあたしはひとりでも大丈夫なようにしてきたんだなと妙に心強く思ったりする。

高校1年の春、放課後に人生で初めてカラオケに行った。4月に友達になったばかりの友達とカラオケに行って、浜崎あゆみを一緒に歌おうと言われた。血の気が引いた。あたしは浜崎あゆみの歌を1曲も知らなくて、でも知らないなんて恥ずかしくて言えないし盛り下げてしまうのではと心配になって何だか焦ってしまった。Momentというわりと有名な曲だったんだけど、その日からちょっとずつ聴くようにした。

昨日、IWGP(池袋ウエストゲートパーク)のあのシーンでさみたいな話になってそのドラマも見たことがなかったから曖昧にごまかしていたらもしかして知らない?!とバレた。なので見たことないんですと答えた。え、だって世代だよね?ど真ん中だよね?と言われたのでそうらしいですよね、はははと答えた。

音楽もドラマもゲームも漫画も、自分の人生には一切存在しなくてただ新体操だけがあった。嬉しいことより悲しいことが分かり合えると嬉しかった。そんなことなかなかないから、自分の過去の色々をそっと閉まって今日も生きてる。

#おやすみゆめであえたら
#エッセイ
#過去

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