【ほぼ日妄言】『PLANETS10』《宇野常寛ユニバースの「青写真」》
宇野常寛さんの代表する出版社PLANETSの3年ぶりの雑誌。
PLANETSって言ってるんだから「ユニバース」より「惑星群」じゃね?まぁそうなんだけど。
しかし、「惑星群」ではなく「ユニバース」としても良いくらい「広がり」のある1冊なのだ。
『PLANETS vol.10』(以下『P10』)のメインコンテンツ【遅いインターネット計画】は富野由悠季監督のイデオン劇場版に因んで【接触篇】【発動篇】と構成されていて、それを一部分とする雑誌全体のスケールは更に壮大な宇宙規模であると言っても過言ではない。
僕はこの『P10』で特筆すべき1つは、その広大さだと思っている。
まず、題材(人)が広大だ。
〈戦争と平和〉特集と銘打ち、アート、メディア、政治、国際社会、お笑い、デザイン、アニメ、ゲーム、スポーツ、都市、マーケティングetc… 様々な人々の言葉で頁が紡がれる。
そこには右とか左とかのポジショントークではなく、現代の我々が本当に考えるべき批評的な観点が綴られる。
「世界の見方が変わる1冊」のコンセプトのもとに作られたとするだけあって、本誌で示される他分野的な視点・多角的な視点は、どれも鮮烈だ。
そうして端的に言えば「テレビ」から「インターネット」への時代の変化、即ち「20世紀」から「21世紀」への変化が抱える問題を、読者は俯瞰することができる。
解放的な程に、視野が広がるのだ。
『インターネットの時代で「自由と平和」を獲得するためにはどうするべきか。』
おそらく殆どの読者が、この課題に向き合うことになるのではないだろうか?
「広がる」のは視野だけじゃなく、きっと行動もだ。
《「考える」ための言葉を、届けに来ました。》
これは『P10』のキャッチコピーだ。
宇野常寛ユニバースはユニバースに内包される我々PLANETS〈さまよう者達〉に「考える」ことを求めている。
我々が広い視野で、広く考え、そして広く動いていくことで、ユニバースはまだ「自由と平和」を獲得できる可能性がある。
巻末には『デジタルネイチャー』の落合陽一さんの、『マタギドライヴ』構想がある。デジタルネイチャーの先の人々の暮らしについての構想だ。
言わば「考えた」先の未来予想図。
だからきっとこの本は宇野常寛氏ら、現代の最先端に立つ人々による、そしてこの世界に住む我々を内包する世界の《青写真》なのだ。
表紙が、それを物語る。
言葉によって人々〈水〉に訴え、
都市〈海〉を躍動させ、
新しい社会〈波のうねり〉を創ろうとしている1冊
それが『P10』なのだ。
我々はこの1冊を「考える」ことで、
「自由と平和」のある将来を築く、その可能性を獲得することができる。
まぁそんなデザイン意図が本当にあったのかは妄想だけど(笑)
けれど。
少なくとも僕はこの『P10』に、衝き動かされてしまったのだ。
あまりに面白いんで、実は前刊『PLANETS vol.9オルタナティブオリンピック・プロジェクト』も買ってしまった。
(私的にバーチャルオリンピックを妄想してることも理由)
今、知人友人に読んでほしい本1位です(笑)
僕はこのユニバースを、育んでいきたい。