ドラマ感想文│『シークレット・インベージョン』第5話
今回も短めの話(39分)だった『シークレット・インベージョン』の第5話。
話の長さが面白さではないので、短いことに不満はない。しかし同じく短かった前回(38分)にそこそこ話が動いたため、今回の内容は非常に薄く感じる。薄い内容を引き伸ばされるよりは良いのだけれど、第1話で大胆に広げた風呂敷を色々なカドから少し折ってはヤメ、を繰り返す退屈なドラマ方式になってはいないだろうか。
今回の話は、フューリーが戦闘態勢を整えて最終決戦に臨もうとする!ということであり、その他の出来事は割とどうでも良いか、或いは違和感が残るだけだったように感じる。
フューリーとローズ(偽)がまたもや対峙し、ローズからはヒル殺しの映像を公開したと宣言されるわけだが、こんな脅しで今更事態が動くとは思えない。フューリーは最初から身動きの取りにくい立場であったし、それくらいのことは予測できていないとシールズ長官など務まらないだろう。
一方タロスを仕留めてアジトへ戻ったグラヴィクはスクラル人の仲間から不信の目を向けられて襲撃される。直前にグルードパワーで見せしめをしていたにも関わらず、大した準備もなく殆ど素手で挑みかかる部下たちもどうかと思うが、不意を突かれたにしてもグラヴィクは追い込まれ過ぎな気がする。スーパーなパワーは予算の都合なのか控え目にしか発揮されないのだ。
タロスやフューリー憎しで集められ、大した求心力も無く恐怖心のみで組織を押さえつけていたグラヴィクが今まで無事でいたこと自体不思議なのに、もしもスーパースクラルが思うような力を発揮できなかったらどうするつもりだったのか。リーダーとしての力の無さを印象付けるための展開だったのだろうか。観ている側はもう充分にそれを感じているというのに…。
そしてガイアと言葉を交わすフューリー、プリシラと会うガイア。いずれのシーンも銃を構えて警戒しながら室内を進むところから始まり、かなり眠くなる。ガイアとフューリーの話は非常に説明くさく、プリシラとの会話は意味がよくわからない。そこから襲撃を受けるガイアとプリシラのゆったりとした共闘シーンもまた、どういう意図があるのか謎である。特にカッコ良いアクションでもなく、淡々と返り討ちにしてゆく様は何だか少し笑える。しかも相手はスクラル人ですらない(少なくともその描写はない)。更にガイアのスーパースクラルパワーも発揮されない。こいつら全員何がしたかったんだ…?
その後タロスを火葬してプリシラと別れるガイア。恐らくグラヴィクを止めに行くのだろうが、プリシラも同行した方が安全だし直前の共闘シーンが活きてきそうな気がする。自宅は大惨事だし、もう大した役目も無いプリシラは一体これからどうするのだろうか。無事に帰って来るフューリーを暖かく迎えるため、部屋の片付けでもするのだろうか。また襲撃されない…?
そんな中、MI6長官(スクラル)を殺してその座に就いた(そんな簡単な人事なのか…?)ソーニャは、ダルトン博士の身柄を拘束しに赴く。この人だけは最初から一貫してマトモに動いているキャラクターな気がする…誰だがよく知らないけれど。ソーニャこそが本作の主役はなのではないだろうか、というくらい鍵を握る人物であり、この人がスクラルだったら話は終わる。
そんなソーニャはフューリーと合流し、フューリーの墓から「収穫(ハーヴェスト)」と呼ばれるアンプルを取り出す。のを眺めている。マジでこの人がスクラルだったら終わってた。
ところでスーパーヒーローのDNAがグラヴィクの目的なわけだけれど、ハルクについてスルーなのは意味があるのだろうか。あんなにも簡単にシー・ハルクなる怪物を生み出したハルクの血液は真っ先に狙われそうなものだが、話題にもならない。そして『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で散々悪さした超人血清についても全く触れられない。やっぱりアレは弱いのか…?もっと言えばサノスの力も狙われて然るべきだろう。ソーの斧にはベットリと血が付いていただろうし、今後のために解析していない筈がない。
そんなトンデモスーパースクラル人を目指すグラヴィクとは対照的に、アベンジャーズの力は借りないぜ!とハードでボイルドを気取るフューリー。しかしどう考えても最終決戦は大怪獣バトルになってしまうわけだから、当然ガイアの力をアテにしているのだろう。それはつまりアベンジャーズの力をアテにしているということになるわけだから、何言ってんだこのオジサン状態である。自らの命を賭して戦いに挑むという一見格好良いけれど無責任な行動は、ある意味フューリーらしいと言えばらしいのだけれど…。
というわけで腑に落ちない点が多い話になっているが、面白くないわけではない。少なくとも『シー・ハルク/アートニー』よりは続きが気になるし、「ナンダソリャ感」も強くない。が、そろそろヒルの生死について明確にして欲しい。そう言えばローズ(本物)とロス(本物)は例のアジトで拘束されているのだろうか。どちらも死んでいるのであれば、ヒルが死ぬよりも大事な気がするけれど…。全てが思いもかけない方向で着地することを期待しながら、続きを待ちたい。
全然関係ないけれど、ヒルを演じているコビー・スマルダーズに似ている(と私が勝手に思っている)ジェニファー・コネリーが出演していた映画『地球が静止する日』を久々に観た。「アレ?こんな話だったっけ?」から始まり、最後まで殆ど記憶に残っているシーンが無かった。巨大ペプシマンだけは覚えていた。やっぱりキアヌはああいう人間離れしたキャラクターが似合うなぁ。
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