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怪獣たちと買い物へ

鼻水を垂らしたり咳き込んで咽たりし続けている我が家の怪獣たちを連れて、夕方から近所のスーパーへ買い物に行った。妻は家でエアコンのフィルタを掃除してくれていた。

まずは往路の途中に公園へ寄り、駆け回る我が子らを見守る。私も含めずっと風邪気味で家でモゴモゴし続けていたので、短い時間ではあったもののキャッキャ言っていた。特に何もせず、ただ走り回っていただけなのに…。

日が落ちきる前に二人の手を引きスーパーへ向かう。そう言えば私ひとりで子供たちを連れて買い物へ出るのは初めてだ。このエネルギーを持て余した怪獣たちがスーパーでどんなハシャぎ方をするのか不安で仕方なかったので、下の子はカートに乗せることにした。意外にも抵抗なく乗り込みしかし不安(或いは不満)な表情は隠しきれずといった様子で、何も言わずに乗っていた。

上の子は自分も乗りたいと表明してきたが、「もう大きくなっちゃったから乗れないねぇ」と言うとアッサリ引き下がった。こういう聞き分けの良さは一体誰に教わったのだろうか。

そしてそんな上の子はお菓子コーナーへ行こうと何度も言っていたが、私が「後でね」と言うとすぐに引き下がる。私が食材を物色しているとその後をついて自分も同じように手に取って眺めてみたり、何やらブツブツ呟いてみたりしていた。大人のことをよく観察しているし、上手に真似するのであまり不必要にベタベタ触るようなこともなく過ごしていた。そして思い出したようにお菓子コーナーへと行きたがる。

一方下の子は黙ったままカートに乗り、枠の部分を握り締めている。アレコレじっと観察しているようだが、家に居る時の様子からは考えられないくらい静かだ。

それでも一通り買いたい物をカゴへ詰め、上の子待望のお菓子コーナーへと向えば、急に元気を取り戻した。ここでカートから降ろせと言い出したら面倒だなぁいう私の思いは杞憂であり、下の子は大人しくカートに収まったまま、アレを寄越せコレを見せろと身振り手振りも交えて指示してくる。

散々色々吟味した挙句、それでも特に何が欲しいとは言わない怪獣たち。けれどその場から離れようとは決してしない。私が「何か1個ずつだったら買う?」と促しても、「コレ!」とはならない。特に上の子はどこへ行ってもこういう様子であり、確実に欲しい物は存在するのに欲しいとは言わない。一体どういう風な思いで居るのかは計り知れないが、とにかくそういう性格なのだ。

ということで最終的に私は、二人が手に取りつつも踏ん切りがつかなかった品と、それでも二人の心を掴み続けている品を手に取り、二人の目の前に出して「どっちがいいの?」と尋ねてやった。そうして漸く本日の戦利品が決定し、晴れやかな顔になった二人を促し、レジへと進んだ。

日曜の夕方はレジが大混雑しており、どのレーンも長蛇の列だ。怪獣たちを連れてここにジっと並ぶのが何よりもしんどい。と思っていたが、意外にも二人は上機嫌なまま並んでいた。これがもし一人ずつだったら、こうはならなかったかも知れない。細かな紛争は絶えないながらも、仲良しのきょうだいで助かる。

しかし会計を済ませ、いざスーパーから出ようとしたら、下の子はカートから降りるのを嫌がって断固拒否の姿勢を崩さない。

グミは握りつつカートからも手は離さない

外はすっかり暗くなっていたし、上の子の機嫌もいつどうなるかわからない。仕方なく私は片手にネギを握ったまま、下の子をカートから引きずり出し、泣き叫ぶ怪獣を片腕で抱えたままスーパーを後にした。

しかし帰り道、買い忘れた食材を思い出して別な店舗へ立ち寄ったら、下の子の機嫌はすっかり良くなった。二歳児は複雑なのだ。

そこでは親切なスタッフから謎のオモチャも貰い、更に上機嫌になった怪獣たち。

スーパーで貰ってきた謎の戦利品

そんな怪獣たちの元気に振り回されながら、妻の待つ家へと帰った。

おわりに

夕食は上の子のリクエストで麻婆豆腐になった。

正直作るのが面倒なので、カレーとか鍋とかのラクなもので済ませたかったが、上の子は断固として麻婆豆腐だった。

先日買い揃えた調味料が活躍する機会ではあるが…

ただ上の子は何故か「マーボー」が「まーもー」になってしまうので「まーもーとーふ」という何だか豆腐が磨り減って無くなってしまいそうな料理名になってしまう。

カートには乗れない四歳児も、まだまだ小さなお子様だ。

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