見出し画像

ドラマ感想文│『ジェシカ・ジョーンズ』シーズン2

全員が不幸になる『ジェシカ・ジョーンズ』シーズン2。

どいつもこいつも余計なことばかりして、自ら人生のドン底へダイブしてゆく。個々の登場人物にはそれぞれショッキングなドラマがあり、シーズン1のように共通の敵と言える存在が無いことから、中盤はダラっとした印象の話になっていた。色々な形の親子模様が描かれるものの、どれも現実離れしていてピンと来ないのが少し惜しい。

ジェシカの母親アリサが出てきてからは、アリサを中心に人間関係が動き出し、それぞれの目的が明確になってゆくことから話の輪郭はハッキリしてきた。しかしそれまでは何となくピントの合わない映像をずっと観ているような感覚で、常に小さなストレスが付き纏うような印象だった。

しかしラストに大きなカタルシスがあるわけでもなく、どちらかと言えば淡々と終わりを迎えたのは本作の良い部分でもあり同時に物足りない部分でもあった。

アリサの登場によってジェシカはその完全下位互換となってしまうことから、トリシュやマルコムの影は一段と薄くなり、何をしても良い結果を迎えないお荷物的な役回りとなってしまう。それはジェシカにしても同様で、死んだと思っていた母親(しかも能力的には自分の完全上位互換)とどう接するか、どんな結末を目指すかに苦悩し続けることになる。

シーズン1からして苦悩するジェシカを眺めるドラマであったわけだから、この点について今更どうこう言うつもりはないが、能力についてもう少し設定を明確にして欲しいとは思った。まずアリサにせよジェシカにせよ攻撃力は高いものの耐久力は低い。特にメンタル部分の耐久力は致命的と言える程に脆弱だ。そのくせドアを蹴破ろうが鎖を引き千切ろうが高所から飛び降りようが傷1つ負わない。治癒力がそれなりに高いという設定だけは明かされていたが、フィジカル的な耐久力については疑問が残る。何しろ撃たれると信じられないくらい出血する(特に終盤のアリサ)し、普通の人間に殴られても窮地に陥る。

それが原因でジェシカはまた殺人を犯してしまうことになり、シーズン1よりもウザさの増したキルグレイブの幻影まで登場してしまった(相変わらず良いキャラだった)。これに関して何となく完璧に偽装工作したような雰囲気だったが、恐らくシーズン3で何らかのアクシデントを引き起こすのではないかと睨んでいる。

話が逸れたけれど、とにかく彼女らの耐久性については常にモヤモヤが拭えないのだ。それはシーズン1にルーク・ケイジが出てきたせいでもある。コロッサス級に頑強なボディである彼の存在は、どうしてもジェシカの防御力問題へと目を向けさせてしまう。殴られて傷を負う程度の耐久力ならば、鎖を引き千切ぎると同時に指が千切れ、高所から着地した途端に脚は粉砕するのではないか。

そんな野暮なことは考えなさんなということなのかも知れないが、本作の割とリアリティ重視な雰囲気が、どうしても私をそんな野暮から引き離してくれないのだ。

ところでシーズン1から能力者の側に居る普通の人間代表…つまり視聴者側が最も感情移入し易い立場に置かれているトリシュだが、シーズン1以上に感情移入し辛いキャラクターに仕上がっており、最早ヴィランにしか見えない。シーズン3のヴィランとして登場しても全く驚きはしないだろう。

そんなトリシュは強化手術を受けて無事に能力を身に備えたようだ。そうでなければ暗闇で光を放ちながら回り続ける観覧車に乗る人間に対して地上からヘッドショットを決めることなど不可能だろう。何故ジェシカは疑問に思わなかったのだろうか。アリサについては死んでもらう以外の纏め方が無さそうなので仕方ない気がするけれど、爆発事故のところで死んでいた方が話としてはキレイに丸まっただろう。が、そうならないのが本作の良いところだとも思える。何だかんだ言いつつも、続きが楽しみだ。

そう言えば本シーズンの終盤でキャリー=アン・モスが完全にトリニティ化するのに思わずニッコリしてしまった。本シーズンの主役とも言える存在だったホガース。病気が治ったと思い込んだ時の表情、騙され多くを奪われた際の絶望(カメラワークも良かった)、復讐を果たすトリニティの顔と見所沢山で、今後の活躍にも期待してしまう。

全然関係ないけれど、『シークレット・インベージョン』は『エターナルズ』より後の話という認識で間違いないだろうか。だとすればスクラル人は空に浮かぶコズミックエンティティの顔を知りながら、本気で地球を乗っ取るつもりだったのだろうか。スーパースクラルになれば勝てると踏んでいたのだとしたら相当なマヌケだと思うのだが…これもまた野暮な話なのだろうか。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?