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オープンアップの決算内容を3分で解説!

今回はオープンアップの決算内容について見ていきましょう。
人材サービス業界で上位に位置するこの会社、決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
内容を見るにあたっての前提ですが、財務諸表の作成に国際会計基準(IFRS)を採用しています。
この点、ご注意ください。

では話を戻しましょう。
売上高は前年比+8.8%の1,616億円となりました。
営業利益は前年比+26.3%の127億円、当期純利益は+36.7%の95億円と大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

売上高の増加の要因としては、国内でのエンジニアの需要増加に伴い、機械・ITと建設領域で堅調に推移しました。
また利益面では積極的な採用投資によりコストが増加しましたが、それ以上にエンジニア領域での粗利増加などもあり大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては4つ「機電・IT領域」「建設領域」「製造領域」「海外領域」があります。
売上高の規模感としては「機電・IT」が全体の約半数を占めます。
次いで「建設」が25%、「製造」で7%、「海外」で18%という割合です。
セグメント利益に関しても「機電・IT」と「建設」で殆どの利益を稼いでいる状況です。

出所:決算短信

「機電・IT」に関しては売上高は前年比+13.6%の804億円、セグメント利益は+20.9%の86億円と二桁増の増収増益となりました。

「建設」に関しては売上高は+8.7%の401億円、セグメント利益に関しては17.7%の62億円と増収増益となりました。
機電・IT同様に二桁増と堅調な推移を見せました。

出所:決算説明資料

「製造」は売上高+13.6%の109億円、セグメント利益は△0.8%の5億円の増収減益となりました。
売上高は二桁増と堅調な推移でしたが、セグメント利益に関してはコスト増加により減益となりました。

「海外」に関しては売上高△3.7%の291億円、セグメント利益は前年の△4億円の赤字から大きく改善し4億円の黒字まで回復しました。

出所:決算説明資料

では2024年6月期の業績予想についても触れておきましょう。
売上高は前年比+10.1%の1,780億円、営業利益は+12.1%の143億円と二桁増の増収増益と堅調に推移する見通しとなりました。

2023年に続いて機電・ITのエンジニア領域での伸びが売上高・利益ともに牽引していくと予想されます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+49億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+67億円増加しましたが、そのうち現預金で+36億円の増加がありました。この点は後のCFの状況で見ていきます。
それ以外では売上高が増加した影響で、営業債権が+22億円増加しています。

固定資産に関しては△17億円減少しましたが、そのうち使用権資産で△4億円の減少がありました。
この使用権資産はいわゆる「リース資産」で、リース契約期間で減価償却されるので、1年経過分が減少したことになります。

出所:決算短信

負債に関しては+32億円増加しましたが、そのうち未払法人所得税で+3億円の増加があります。
これは当期利益の増加に伴う法人税の増加となります。
またその他の流動負債で+29億円の増加がありましたが、詳細の記載がありませんので内容は不明です。

出所:決算短信

資本に関しては+16億円増加しましたが、増加要因としては当期利益+95億円があります。
一方減少要因としては「剰余金の配当」で△39億円、「自己株式の取得」で△40億円あります。
つまり株主還元で△79億円費やした、ということになりますので、このあたりはかなり株主への配慮が感じられます。

出所:決算短信

またROEに対する考えとしては、中期的に「20%の回復」を一つの指標として目指しています。
今回が14.5%なのでまだ少し乖離はありますが、まずは利益が増加しないことにはどうにもなりませんので、二桁増の成長を掲げています。

出所:決算説明資料

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+36億円増加しました。
内訳としては営業CFで+155億円、投資CFで+6億円、財務CFで△126億円という内容です。

営業CFに関しては、税引前利益で+131億円としっかり稼げており問題ありませんし、他の項目でも特段問題はなさそうです。

投資CFに関しても、基本的には有形・無形固定資産での大型投資はないので、ここでの動きはあまりありません。
ただ前年のように連結対象会社の株式に関する動きがあれば注意が必要ですが、今回は大きな動きはありませんでした。

出所:決算短信

財務CFに関しては、前年は借入金の返済で大きな支出がありましたが、今回は借入金返済での大きな動きはありませんでした。
あと「リース負債・配当金・自己株式」の3項目では前年に引き続き同レベルの支出△120億円がありました。

出所:決算短信

また配当と自己株式に関しては自社で意識決定できる項目です。
配当金はここしばらく減配することなく推移しており、2024年に関しても増配する予定です。
自己株式に関しては、前年と今回でそれぞれ40億円実施しましたが、2024年に関しては現時点では未定とのことです。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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