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サカタのタネの決算内容を3分で解説!

今回はサカタのタネの決算内容について見ていきましょう。
種苗業界トップを走るこの会社、決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+5.8%の773億円となりました。
営業利益は前年比△2.4%の109億円、当期純利益は△22.6%の95億円と増収減益となりました。

出所:決算説明資料

増収効果で売上総利益までは増加しましたが、営業利益以降の利益ベースでは減益という結果です。
減益の主な要因は2つ、「一般管理費増加」と「特別利益の減少」です。

出所:決算短信

「一般管理費増加」に関しては前年比で+39億円増加していますが、内訳としては人件費が+16億円と一番大きな増加となりました。
次いで研究開発費で+9億円の増加が見られました。
人件費にしろ研究開発費にしろ、将来のための投資としてコストを増加しているという印象です。

出所:決算説明資料

では地域別の売上高に関して見ていきましょう。
地域別の売上高の構成としては日本国内が全体の27%でそれ以外は海外が占めており、海外売上の依存は非常に高いです。

出所:決算短信

ではまず日本での売上に関してですが、前年比で見るとほぼ変動はなく210億円となりました。
商品別では、野菜種子では、トマト、レタスが産地への導入が進み増加しましたが、ホウレンソウ、ニンジン、ネギが減少しました。また、家庭園芸向け需要の落ち着きなどもあり、花種子と苗木も減少しました。
資材と農園芸肥料は増加しました。

出所:決算説明資料

次は北中米ですが、USドルベースで見ると前年比+1.2%増加しました。
日本円ベースで見ると為替影響もあり+10%となります。
品目別ではブロッコリーが米国西部の干ばつの影響から減少したものの、ペッパー、ホウレンソ ウ、スイカ、メロン、ビートが好調に推移し、増収となりました。

出所:決算説明資料

欧州・中近東では現地通貨ベースで前年比△1%となりますが、日本円ベースで見ると為替影響で+5.5%の増収となりました。
品目別ではカボチャ、ブロッコリー、ハクサイが増加しましたが、トマトがエジプトの外貨規制の影響で出荷を一時見合わせたことから大きく減少しました。

出所:決算説明資料

南米に関しては現地通貨ベースで+9.4%、日本円ベースでも+11.7%の増収となりました。
品目別で見るとメロンが減少しましたが、カボチャ、ペッパー、ブロッコリー、レタ スが大きく伸びたことが増収の要因です。

出所:決算説明資料

アジアに関しては日本円ベースで+5.7%の増収となりました。
品目別に見ると商流変更による販売時期の変更などからニンジンが減少しました が、ネギ、ブロッコリー、オクラが好調に推移し、増収となりました。

出所:決算説明資料

このように地域別で売上高を見てみると、現地通貨ベースでは前年比で減少している地域もありましたが、日本円ベースで見ると為替の円安効果で全ての地域で増収となりました。

2024年5月期の業績予想についても見ておきましょう。
売上高は前年比+8.7%の840億円、営業利益は0.7%の110億円と増収増益の見通しとなりました。
売上高の増加分を研究開発費やその他の販管費で消費し、営業利益ベースでは微増に留まるという見通しです。

出所:決算説明資料

地域別の売上高を見ても全ての地域で増収の予想となっています。
特に南米とアジアでの伸びが大きく、堅調な見通しとなっています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+132億円増加しました。

流動資産は+69億円増加しましたが、そのうち商品などの棚卸資産全体で+43億円の増加が見られました。
固定資産では+63億円増加しましたが、建物などの有形固定資産で+38億円の増加、投資有価証券で+21億円の増加が見られました。

出所:決算短信

投資有価証券の増加に関しては、新規取得による増加ではなく時価評価による増加と考えられます。
PLの「その有価証券評価差額金」で18億円の計上があり、これがBS上の投資有価証券の増加分と連動しているためです。

出所:決算短信

負債に関しては+6億円とあまり大きな変動はありませんでした。
借入金も△0.2億円とほとんど変動がなく目立った動きはないようです。

純資産に関しては+127億円増加しましたが、やはり当期純利益+95億円の影響が一番大きいです。
それ以外では「その他有価証券評価差額金」で+18億円と「為替換算調整勘定」の+34億円が主な増加要因です。
為替換算調整勘定に関しては、円安の影響で海外子会社の為替評価がプラスに作用した結果となります。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△14億円減少しました。
内訳としては営業CFで+83億円、投資CFで△81億円、財務CFで△28億円という内容です。

営業CFに関しては、税引前利益で+124億円としっかり稼げていましたが、一方で棚卸資産が増加したことなどマイナス要因もありました。

投資CFに関しては、有形・無形固定資産への投資で△62億円の支出がありました。
投資金額のレベル感としては、コロナ禍の影響で2020年は投資金額が抑えられましたが、それ以降は徐々に投資金額を増やしており、今回はコロナ禍前の2019年と同レベルまで戻りました。
次年度はさらに投資レベルを引き上げて、68億円の投資を予定しています。

出所:決算説明資料

財務CFに関しては内容的には例年通りで特段変化はありませんでした。
また配当金に関しては55円/株と前年から+10円/株の増配となり、株主還元を意識した配当政策をとっています。
次年度に関しては今回と同額の55円/株を予定しています。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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