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ツクルバの決算内容を3分で解説!

今回はツクルバの決算内容について見ていきましょう。
中古・リノベーション住宅の流通プラットフォームと不動産企画デザインサービスを展開するこの会社、決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+50.1%の41億円となりました。
営業利益は前年の△7億円の赤字から大幅に改善しましたが、依然△1億円の赤字となりました。

通期で見ると赤字継続となりましたが、4Qだけで数値を見ると黒字転換に成功しています。
また四半期ごとの数値では売上高・売上総利益ともに過去最高となり、回復の兆しを見せています。

出所:決算説明資料

では売上高と売上総利益の推移を見てみましょう。
2019年から今回までの5年間の推移を見てみると、売上高はこの5年間で2.7倍と大きな成長を見せています。
直近の前年比でも+50.1%増と、高成長を維持しています。

傾向としては売上総利益も同様で、この5年間で2.3倍、前年比では+37%とこちらも高成長を維持しています。

出所:決算説明資料

ではこの高成長を支えている内容についてですが、まず事業としては「カウカモ」が主力となって業績を牽引しています。
カウカモ事業の売上高は前年比+61%、売上総利益は+41%と大幅に増加し、セグメント利益に関しても前年の赤字から今回は6億円の黒字と大幅な増益を達成しました。

出所:決算説明資料

GMVとテイクレートの推移を見てみましょう。
GMVに関して2019年との比較でみると、この5年間で3.4倍まで取引額が増加していることがわかります。
また前年比で見ても+43%と大幅に増加しており、この点が売上高増加にそのまま直結しています。

コロナ需要の一巡も影響して、不動産流通市場全体における取引件数は年始から対前年比で下回って推移していましたが、5~7月期で微増に転じました。また事業拡大の取り組みが進捗し、取引件数が順調に増加しました。
その結果、GMVは前年比+43%と大幅な成長を見せました。

出所:決算説明資料

テイクレートに関しては、影響を及ぼす大きな市場需給環境の変化はなく、前年と同じ4.6%となりました。
リノベーションサービスなど購入付帯サービス の堅調な販売や売/買両サイドにおける仲介担当案件の増加などプラス要因もありました。
今後も引き続き「構造的なテイクレート改善」に向けた取り組みを推進するものの、短期的には大幅なテイクレート増減を想定していないようです。

今回の4Qでカウカモ事業の継続成長と営業損益の改善に向けて3つの取り組みを行いました。
それは「売/買両サイドでのGMVの拡大」「構造的なテイクレート改善」「コストマネジメントの強化」です。
中でもGMVの拡大とコストマネジメント強化の成果が顕著に出て損益の改善につながりました。

出所:決算説明資料

特にコストマネジメント強化はダイレクトに利益に影響するので、その効果が分かりやすく出ています。
売上総利益販管費率の推移で見ると、前年は170% - 110%の範囲で推移していましたが、今回は4Qで90%まで下げることができました。
その結果、4Qでは売上総利益で黒字化を達成することができました。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産に関しては前年末から+1.8億円増加しました。

出所:決算説明資料

今回特に動きがあったのは負債と純資産に関してです。
負債に計上されていた「転換社債型新株予約権付社債」の7億円が資本へ転換されました。
これは2022年11月、丸井グループ社へのA種種類株式の新規発行および新株予約権付社債の買入消却を実施したことによるものです。
これにより、負債にの7億円が純資産へ移動したのでその分純資産が増額され、結果として自己資本比率が高くなりました。
前年の自己資本比率は28%だったのに対して、今回の動きによって45%まで高まる結果となりました。

出所:決算短信

今回も赤字決算だったため、当然純資産は減少する方向に動きますが、今回の新株予約権付社債→資本への転換によって「資本の増強」を図ったことになりました。
この点は株主目線も意識した経営判断となりますが、このような判断は株価へも大きな影響を及ぼすと考えられます。
因果関係は分かりませんが、株価の動きとしては上昇傾向にある様子です。

出所:決算説明資料

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+1.2億円増加しました。
内訳としては営業CFで△0.8億円、投資CFで△0.6億円、財務CFで+2.6億円という内容です。

ここでも登場するのがBSの状況で触れた「新株予約権付社債と資本」に関する動きです。
財務CFの中で「社債の買入れ消去による支出」と「新株発行による」で7億円の支出と収入の動きがあります。
ネットすればキャッシュの動きはほとんどないことになりますが、それぞれの項目で見ると大きな動きとなります。

また収支に直接関係する動きとしては、長期借入金の追加借入と通常の社債の償還による支出です。

出所:決算短信

CF全体としては大きな投資はありませんが、赤字のため営業CFとフリーCFはマイナスが継続しています。
CFの状況の改善にはやはり営業CFでプラスにならないと厳しい状況が続きそうです。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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