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楽天の決算内容を3分で解説!

今回は楽天の第1四半期決算内容について見ていきましょう。
モバイル事業で苦しい状況との声が大きいですが実際の内容は?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上収益は対前年+11.7%の4,371億円となりました。
一方利益に関しては、営業利益△1,126億円、四半期利益△920億円と本決算から引き続き大幅赤字となりました。

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出所:決算短信

もう少し詳しくセグメント別に見ていきましょう。
楽天は大きく分けて三つのセグメントがあります。
①インターネット事業 ②フィンテック事業 ③モバイル事業
全てのセグメントで売上収益は増収となっているので、事業規模自体は伸びています。ただ問題は「モバイル事業の収益性」です。
見てお分かりのように、売上収益は対前年比+44%と大幅増収となりましたが利益としては赤字幅が大きく膨らんで△1,350億円となりました。
他二つの事業の利益をモバイル事業の赤字が一気に食い尽くす結果となりました。

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出所:決算補足スライド資料

モバイル事業はユーザー数の増加により年々売上高は伸びています。
22年4月にはついにMNO契約数で5百万を突破しました。

出所:決算補足スライド資料

しかし、回線エリアの拡大により設備投資が増加し、それに伴っって減価償却費やネットワーク関連費用も増加しました。その結果「規模は拡大したけど赤字も拡大」という結果となりました。

出所:決算補足スライド資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
楽天はグループで様々な事業を展開していますが、その中でもフィンテック関連の事業が大きな割合を占めています。
PLの状況で見たセグメント別売上で分かるように、フィンテック事業の売上は全体の約36%でした。
またBSに関して見てみると割合はもっと高くなり約60%となります。
この点はやはり顧客の預金も含めた金融資産が大きな割合を占めています。
「銀行業の預金」だけで7兆円ありますのでかなり大きいですね。
ちなみに「7兆円」の規模感としては「世界のスマホゲーム市場」と同じくらいと捉えれば良いかと思います。

出所:決算補足スライド資料

またモバイル事業の赤字が続いているとはいえ現預金は4兆円程度保有しています。一方社債・借入金も同程度保有しておりバランスしている状況です。
コミットメントラインに関しては2,524億円の契約があり、未実行残高は2,441億円あるので程度によりますが緊急時の備えも準備できています。

出所:四半期報告書

3.CFの状況

では最後にCFの状況について見ていきましょう。
この第1四半期のキャッシュの収支は△772億円となり現預金残高は4兆3,330億円となりました。
赤字が継続しているので営業CFはマイナスの△2,090億円、投資CFは銀行業で有価証券の取得が6,477億円があり△4,045億円、財務CFは長期借入の追加借入が4,645億円あったので+5,294億円となりました。
フリーキャッシュフロー(営業CF+投資CF)でも△6,135億円となっているのでCFの状況自体はあまり良くありません。

出所:決算短信

あとこれはニュース等で報じられているのでご存知のこととは思いますが、楽天銀行が上場申請しました。
この上場申請が通れば新たな資金調達ができモバイル事業等の投資へと資金が投入されるのではないかと考えられます。

出所:ニュースリリース

この楽天銀行の上場が今後どのように影響するか興味深い点です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?



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