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三菱総合研究所の決算内容を3分で解説!

今回は三菱総合研究所の決算内容について見ていきましょう。
五大シンクタンクの一角を担うこの会社、売上高は過去最高を記録するなどその決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+4.7%の1,221億円と過去最高を記録しました。
経常利益は前年比△4.7%の100億円、当期純利益は△62億円と利益面では減益となりました。

出所:決算説明資料

売上高に関しては、シンクタンク・コンサルティングサービ ス(TTC)のガバメントクラウドや 5G 関連の大型案件が、IT サービス(ITS)は金融カード分 野の大型システム案件がけん引した結果、過去最高となりました。

経常利益に関しては前年比で減益となりましたが、内容的にはあまりネガティブなものではないようです。
新事業要員や事業部門人員の増加による人的投資関連で10億円のコストアップ、また退職給付関連費用などで3億円のコストアップなど人的関連費用が増加しています。
今後の事業拡大には人的補強は必須項目なので、今回のコストアップは先行投資の要素が強いと考えられます。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては2つ「シンクタンク・コンサルティングサービス(TTC)」「ITサービス(ITS)」があります。
規模感としては、ITSが全体売上高の約6割、利益面では5割強となっています。

◇TTC
売上高は前年比+3.9%の504億円、経常利益は△14.7%の44億円と増収減益となりました。
官公庁や運輸・通信業向けを中心に増収になった一方で、将来の成長に向けた人的投資の増加を吸収しきれず減益となりました。

出所:決算説明資料

また受注高と受注残高に関してはそれぞれ二桁減と大きく減少しています。
この減少の要因として、前年は官公庁の大型案件が含まれていたことがあります。ただこの大型案件は、受注高としては規模は大きいのですが、その分通常の案件に比べると外注費の割合が高いため、儲けが少ない案件です。
よってこの大型案件を除いたベースで受注高を見てみると、前年比を上回る水準になっていることが分かります。

出所:決算説明資料

◇ITS
売上高は前年比+5.3%の716億円、経常利益は+4.9%の55億円と増収増益と過去最高水準になりました。
受注損失引当金で△6億円の費用計上がありましたが、それを跳ね返すように金融・カードや文教、SIなどがけん引し過去最高を達成しました。

出所:決算説明資料

顧客業種別売上高についても見てみましょう。
顧客3業種として「官公庁」「金融・カード」「一般産業」がありますが、全ての業種で前年比増となっています。
+4〜5%の間で満遍なく増加している様子です。
売上構成としては「金融・カード」が全体の45%を占めており主軸となっています。今後もこの傾向は継続するではないでしょうか。

出所:決算説明資料

◇2024年9月期業績予想
2024年9月期の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比△3.4%の1,180億円、経常利益は△2百万円の横ばいで100億円という見通しです。
ITSの売上高は+0.5%と微増ですが、TTCの売上高が△8.8%と減収見込みとなり、この点が大きく影響しています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+33億円増加しました。

流動資産では△27億円減少しましたが、そのうち現預金で△29億円の減少がありました。この点に関しては、後のCFの状況で見ていきます。

固定資産に関しては+61億円増加しましたが、そのうちソフトウエア関連で+14億円、投資有価証券で+35億円の増加が主な内容です。

出所:決算短信

ソフトウエア関連や投資有価証券への投資に関しては、資本政策の中でもこの分野のへの投資を進めていくことをはっきりと明言しています。
特に出資・M&Aの戦略投資は、配分原資の35%を投資するなど一番力を入れる分野に位置付けられています。

出所:決算説明資料

負債に関しては+1億円と全体としては大きな動きはありませんでした。
借入金に関しても追加借入などはなく、現在の借入金残高は5億円で且つ1年以内に返済予定となっています。

出所:決算短信

純資産に関しては+32億円増加しました。
剰余金の配当で△25億円、自己株式取得で△18億円とマイナス要因はありましたが、当期純利益で+62億円としっかり利益が出ているので、純資産全体としては増加しています。

出所:決算短信

では安全性の指標に関しても見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は231%と目安の200%を上回っており問題ありません。
固定比率(固定資産÷自己資本)に関しても73%と目安の100%を下回っており、こちらも問題ありません。
先程も少し触れましたが、資本政策としてM&Aやシステム関連への投資を進めていますが、それもBSのバランスを考慮しながら進めているので、全体としては上手くコントロールされている印象です。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△29億円減少しました。
内訳としては営業CFで+56億円、投資CFで△24億円、財務CFで△61億円という内容です。

営業CFは税引前利益で+96億円としっかり稼げている点は問題ありません。

投資CFは資本政策で明示しているように、戦略投資と設備投資への資本投下を進めています。
その結果、この1年間で有形・無形固定資産と投資有価証券の取得に関して合計で△75億円の資金を投じました。

出所:決算短信

財務CFでは毎年ある項目のリース債務の返済と配当金の支払いで△36億円の支出がありました。
あとは今回自己株式の取得で△18億円の支出がありましたが、これは株主還元を意識した動きとなっています。

出所:決算短信

CF全体ではマイナスとなりましたが、営業CFと投資CFの合計であるフリーCFは+32億円と前年に引き続きプラスを維持しています。
また財務CFでは配当金と自己株式取得の株主還元での支出がかさんだ結果のマイナスであり、政策的に支出をコントロールしている印象です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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