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伊藤園の決算内容を3分で解説!

今回は伊藤園の決算内容について見ていきましょう。
緑茶好きな人もそうでない人もご存知のこの会社、内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
内容を見ていく前に触れなければいけない点があります。
それは今回の決算より「収益認識に関する会計基準」を適用しています。そのため売上高の前年比較に関しては資料上数値が示されていません。
ではこの「収益認識に関する会計基準」とは具体的にどのような内容か?について少し触れておきましょう。
以下は決算短信に記載のあった内容です。

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出所:決算短信

今回の変更点は3点あってそのうち影響が大きいと想定される1と2について見ていきましょう。
1については「今まで費用計上していた販売手数料をこれからは売上のマイナスで計上する」ということです。
この変更では営業利益等の利益の額への影響はないのですが、売上高は減少します。(その分費用も減少するので利益は変わらない)
2については「今まで1年の売上として計上していたものをこれからは契約期間の年数に沿って複数年に分けて売上を計上する」ということです。
この変更によって初年度の売上高は減少するので、その分利益の額も減少します。
ただ契約期間に渡って売上高は計上されるので、その契約期間を通して利益を考えた場合では変更はありません。

会計基準変更に関してはここまでにして話を戻しましょう。
売上高は4,007億円となりました。また営業利益は187億円、当期純利益は129億円となり利益は堅調に増加しています。

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出所:決算説明会資料

セグメント別にも見ていきましょう。
セグメントとしては3つ、「リーフ・ドリンク関連事業」「飲食関連事業」「その他」があります。
みなさんお馴染みの「おーいお茶」はリーフ・ドリンク関連事業に、「タリーズコーヒー」は飲食関連事業に属しています。
その中でもやはり主要な事業はリーフ・ドリンク関連事業です。
売上高、営業利益ともに全体の約92%を占めています。

出所:決算短信

緑茶市場の観点から見て見ますと、'05年の4,470億円をピークに横ばいが続いています。その中で伊藤園のシェアもここ数年35%周辺で横ばいが続いています。
健康志向の高まりに伴って「無糖飲料」の需要は伸びてきているので、緑茶市場のポテンシャルはまだあると考えられます。その中で今後シェアを伸ばしていけるかどうかでしょう。

出所:決算説明会資料

営業利益以降の項目で大きな金額が発生しているのは、特別利益の「助成金収入」です。今回20億円の助成金がありましたが、内訳としては「雇用調整助成金で1億円」、営業時間短縮に係る「感染拡大防止協力金で19億円」となります。
これは新型コロナに関連する助成金なので、今後はどうなるか不明です。

出所:決算短信

2.BSの状況

次にBSの状況について見ていきましょう。
資産合計としては前年から△47億円減少していますが、主な要因は有形・無形固定資産の償却費105億円計上された事による減少です。
負債純資産に関しては借入金返済により190億円減少、一方当期純利益で129億円増加しています。

出所:決算説明会資料

流動比率は290%あり問題ありませんし、固定比率も64%と問題ない水準です。
また大きな懸念ではありませんが、1.7億円の債務保証を行なっています。
金額的に大きな影響はないと思いますが、一応チェックは必要かと思います。

出所:有価証券報告書

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前期末から△132億円減少しています。項目別に見てみると、営業CFで+222億円、投資CFで△73億円、財務CFで△299億円となります。
また営業CFと投資CFの合計のフリーCFは+149億円となりました。

出所:決算短信

全体的にCFの状況としての懸念点はありません。
また不測の事態への備えとして取引銀行と当座貸越契約と貸コミットメント契約を結んでいます。'22年4月末時点で175億円の借入未実行残高がありますので、ある程度の備えはできていると考えられます。

出所:有価証券報告書

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?




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