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クスリのアオキの決算内容を3分で解説!

今回はクスリのアオキの決算内容について見ていきましょう。
ドラッグストアランキングでトップ10に位置するこの会社、決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+15.4%の3,788億円となりました。
営業利益は前年比+8.7%の152億円、当期純利益は+25.3%の123億円と増収増益という結果です。

出所:決算説明資料

売上高が増加した分売上総利益も増加しましたが、販管費も前年比+20%と増加したました。
その結果、営業利益の増加率は+8.7%にとどまりました。
ただ営業外収益の補助金収入で33億円の計上があった影響で、経常利益と当期純利益は前期比二桁増の大幅増益となりました。

出所:決算短信

ではもう少し詳細に関して見ていきましょう。
まずエリア別の売上高と店舗数です。

店舗数に関しては前年から+77店舗増加して903店舗になりました。
エリア別で見ると本社石川県のある北信越で356店舗と一番規模が大きいです。次いで関東で252店舗、東海で161店舗と続きます。

売上高の構成比率を見てみると、店舗数に比例して北信越が全体の47.2%と一番大きな割合を占めています。
次いで関東・東海となりますので、店舗数と同じ傾向です。

出所:決算説明資料

あと資料上では示されていませんが、1店舗当たりの売上高を算出してみると次のようになります。
【北信越5億円、関東3.6億円、東海3.6億円、関西3.6億円、東北3.8億円】

北信越が5億円と突出しており他の地域は3億円台とほぼ並列です。
ではなぜ北信越が突出しているのか?と考えると、「調剤併設率」が関係しているのではないかと考えられます。
北信越の調剤併設率は67.9%で他のエリアは50%台にとどまっています。
調剤薬局が併設されていることで、その分調剤の売上高が増加し店舗自体の売上高も増加するという流れになっていると推測されます。
おそらくこの点は戦略的に考えており、全店舗の調剤併設率も前年の56.2%から今回は58.7%と増加しています。
ちなみに次年度の出店計画では+65店舗の増加を計画しており、調剤併設率は62%と今回から+3.3%増加する計画です。

出所:決算説明資料

この点も加味しながら商品別の売上高を見てみましょう。
構成比率としてはフードが44.8%と一番大きな割合を占めています。
次にライフの19.4%と続きますが、調剤は11.3%とまだまだこれからというところでしょうか。
ただ売上高の前年からの伸び率は+20.6%と二桁増の伸びを見せており、今後の成長に期待が持てます。

出所:決算説明資料

販管費の内容についても見ておきましょう。
販管費は前年比で+20%の151億円増加し908億円となりました。
構成内容としては人件費で372億円と全体の40%程度を占めています。
一方で販促費は28億円と全体の3%程度で、あまり販促費にコストを費やしていないようです。
ただ次年度は+65店舗増加する予定なので、今後販促費が増加してくる可能性は否定できません。

出所:決算説明資料

では次年度の業績予想に関しても見ておきましょう。
売上高は前年比+8.2%の4,100億円、営業利益は+16.4%の178億円と増収増益の見通しです。
店舗数も増加することから売上高は堅調に推移し、営業利益に関しても販管費の増加を抑えながら利益を確保する見通しとなっています。
堅調な見通しですね。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+407億円増加しました。

流動資産では+271億円増加しましたが、そのうち現預金で+165億円の増加が見られました。この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。
他の増加要因は商品の棚卸資産で+58億円の増加がありました。
売上高や店舗数が増加しているので、その影響で商品在庫が増加したものと考えられます。

固定資産に関しては+135億円増加しましたが、そのうち有形固定資産で+111億円の増加がありました。
これは新店舗出店に伴い土地や建物、リース資産が増加しました。
リース資産に関してはおそらく店舗で使用する備品関係等が含まれていると推測されます。

出所:決算説明資料

負債に関しては+284億円増加しましたが、借入金d+105億円の増加が見られました。
借入金は短期の借入金はなく長期借入金のみなので、運転資金の不足分ではなく新店舗出店に関する資金調達をした結果、借入金が増加したものと考えられます。
また買掛金などの支払債務が+108億円増加しましたが、これは売上高増加に伴い商品仕入れに関する債務が増加したものと考えられます。

出所:決算短信

純資産に関しては+122億円増加しましたが、当期純利益の+129億円と剰余金の配当△8億円くらいで他に大きな動きはありませんでした。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+165億円増加しました。
内訳としては営業CFで+312億円、投資CFで△222億円、財務CFで+75億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税引前利益の+176億円と減価償却費の+105億円で営業CFの大半を稼いでいます。
債権債務残高増減の影響では、仕入債務の増加分がCFではプラスに作用するので、今回は+16億円の影響がありました。

投資CFに関しては、新店舗の投資で有形固定資産に対して△204億円の支出がありました。
たまシステム関連の投資で、無形固定資産に対して△10億円の支出がありました。
金額のレベル感で言えば、前年よりは投資金額は減少していますが、それでも200億円超の投資を続けているので、決して少ない金額ではありません。

財務CFに関しては、長期借入金の返済で△104億円の支出がありましたが、新規の長期借入で+209億円の収入があったので、純額としては+105億円キャッシュは増加しました。
それ以外の項目で特段目立つ内容のものはありませんでした。

出所:決算短信

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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