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スマレジの決算内容を3分で解説!

今回はスマレジの決算内容について見ていきましょう。
最近CMでもよく見かけるこの会社、決算もなかなか好調な様子です。

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。

売上高は前年比+37.6%の59億円となりました。
営業利益は前年比+40.4%の8.9億円、当期純利益は+59.1%の8.8億円と大幅な増収増益となりました。

出所:決算説明資料

今回の決算では特別利益で58百万円が計上されています。
内容はロイヤルゲートという連結子会社を吸収合併した際に受け入れた資産と所有している株式の帳簿価額との差額によるものです。
毎年発生するような内容ではありませんので、区分としては特別利益の項目で計上されました。

出所;HPのIRニュースより抜粋

ではもう少し詳しく内容を見ていきましょう。
過去5年間の売上高・営業利益の推移を見てみると、売上高は3倍・営業利益は2倍に増加しています。
またこの5年間で今回の決算が一番大きく飛躍しました。

出所:決算説明資料

では今回はなぜ大きく飛躍することができたのでしょうか?
この点に関して見ていきましょう。

まず売上高が大きく増加した要因は主に4点あります。
①新規有料契約の増加 ②低解約率によるストック売上高の積上げ
③決済会社M&Aによるシナジー ④月額利用料の価格改定

①新規有料契約に関しては、前年末の24,448店舗から+4,962店舗増加して29,410店舗になりました。
無料店舗も含めた登録店舗全体で見ても前年末から+15,897店舗増加しています。
また登録店舗全体に占める有料店舗率も上昇を続け前年末から+1.1%アップして23.3%になりました。
流れとしてはまず無料店舗で登録してから有料店舗へ流入していく流れです。全体の店舗数と有料店舗数、有料店舗率が連動して上昇を続けています。

出所:決算説明資料

②低解約率に関しては年度ごとの平均解約率で見ると年々低下を続けています。今回は過去最低水準を更新して0.58%まで下がりました。
これはスマレジのサービスが顧客目線のサービス品質向上を求めてきた結果として現れているのではないかと考えられます。

出所:決算説明資料

④価格改定に関しては、今回の価格改定で全てのサービス価格を+10%以上引き上げました。
ただこの価格改定による解約率への影響は現時点ではほとんどありません。

出所:決算説明資料

その結果、契約ID・店舗ごとの顧客単価は価格改定後一気に上昇しました。
どちらも+17%程度アップとかなり大きな効果があったと考えられます。

出所:決算説明資料

「値上げをしたけど顧客は離れずむしろ増加している」状況なので、必然的に売上高は増加します。
これが今回の売上高増加の大きな流れと考えられます。

ただ売上高を上げるためのコストもその分増加しています。
販売費及び一般管理費の推移を見てみると、前年比+33.4%と売上高の増加に近い水準で増加しています。
中でも「広告宣伝費」と「人件費」が大きな割合を占めています。

出所:決算説明資料

「広告宣伝費」に関しては、前年比+31.4%増加しました。
内容は幅広い認知獲得を目的とした「テレビ・ラジオ」、リード獲得を目的とした「Web広告・展示会費用」などがあります。
費用全体のおよそ半分を占めているのが「テレビ・ラジオ」です。
ただ「Web広告・展示会費用」はここ1年で大きく増加することになり、全体の40%を占めるまでになりました。

「テレビ・ラジオ」での広告宣伝を維持しつつ、徐々にWebなどでの広告宣伝が増加する傾向は今後も続きそうです。

出所:決算説明資料

「人件費」に関しては従業員数の推移を見てみると、前年比+25%増加して262人になりました。また2019年と比較すると3倍に増加しています。

エンジニア・デザイナーの従業員数の増加はもちろんですが、一番大きく増加しているのは「セールス・マーケティング」に関する人員です。
前年の58人から今回は98人と+68%と大幅増員となりました。

先程触れたように、広告宣伝にかかる費用が増加しているので、その分マーケティング等に関する仕事量も増加し人員が必要になったと推測されます。売上高の増加を支えるための人員補強はある程度必要なことでしょう。

出所:決算説明資料

では次年度の業績計画に関しても少し触れておきましょう。
売上高は前年比+30%の76億円、営業利益は+2.4%の9億円と増収増益の見通しとなりました。
売上高を伸ばしつつ積極的にコストかけた投資も行っていく計画です。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+8億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産に関しては+4億円増加しましたが、売上高増加に伴い売掛金や商品など棚卸資産が増加しました。
また現預金も+2億円増加していますが、この点は後のCFの状況で触れていきます。

固定資産に関しては、連結子会社の吸収合併の影響などもあり+4億円増加しました。

負債に関しては+4億円増加しました。内容としては借入金などの有利子負債は保有しておりませんが、利益増加に伴い法人税等で増加が見られました。

純資産に関しては+4億円増加しましたが、内容としては当期純利益で+8億円、一方でマイナス要因としては自己株式取得△4億円がありました。

出所:決算短信

スマレジはこれまで内部留保の確保を優先するために無配を続けてきました。ただ繰越利益剰余金もある程度積み上がっているので、今回は無配だけど自己株式取得で株主還元を実施したのではないでしょうか。
もうしばらくは無配が続きそうではありますが、今回の様な自己株式取得による株主還元は今後も期待できそうです。

出所:決算説明資料

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から+1.9億円増加しました。
内訳としては営業CFで+9.8億円、投資CFで△3.1億円、財務CFで△4.5億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFに関しては税引前利益で+9.8億円としっかり稼げているので問題ありません。

投資CFに関しても、フリーCFがマイナスにならない程度の投資額におさまっており特段問題はありません。

財務CFに関しては、先程BSの状況で触れた自己株式取得の△4億円が主な内容となっています。

借入金等の有利子負債もなく利益もしっかりと出ている状況なので、問題になりそうな要素はなさそうです。
ただ今後M&Aなどを積極的に行っていけば資金調達の必要性が出てくるかもしれません。
そのような動きがあれば注意が必要です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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