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物語コーポレーションの決算内容を3分で解説!

今回は物語コーポレーションの決算内容について見ていきましょう。
焼肉・ラーメン・お好み焼きなど外食関連を幅広く手掛けるこの会社、決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+25.9%の922億円となりました。
営業利益は前年比+150.6%の72億円、当期純利益は+25.9%の46億円と大幅な増収増益となりました。

出所:決算説明資料

売上高の増加率前年比+25.9%に対して売上総利益の増加率も同率の+25.9%となっていることから、売上原価を上手くコントロールできたことが分かります。

また一般管理費に関しては前年比+17.9%と一定の増加は見られるものの、売上高ほどの増加率ではなくコストを抑えているため、営業利益の増益に貢献していると考えられます。
コストが増加した項目としては「給与関連」で、前年から+17%増の+33億円増加しています。
これは前年末から店舗数が+39店舗増加しているので、その分人件費がかかっていることが主な要因と考えられます。

営業利益では前年の倍以上の増益となりましたが経常利益以降になるとその増益幅は落ちてきます。
その要因としては、前年はコロナ関連の助成金収入で+31億円の収入がありましたが、今年からはその助成金は無くなったことが挙げられます。

出所:決算短信

では売上高と経常利益の業績推移を見てみましょう。
連結決算を組み始めたのが2015年でコロナ禍前の2019年までは売上高・経常利益ともに右肩上がりに増加を続けていました。

コロナ禍の2019年に一旦業績は落ち込みますが、その後2022年には売上高・経常利益ともにコロナ禍前の業績を超えて増加モードに入り今年に至るという経緯を辿っています。

出所:決算説明資料

部門別に推移を見てみると、一番売上高の構成比率が高いのが「焼肉部門」で全体の約半分を占めています。
2015年から今年までその売上高は2.5倍まで増加しており業績全体を牽引してきています。

次に売上高の構成比率が高い部門は「ゆず庵部門」で16%となります。
ゆず庵部門は2017年にできた新しい部門ですが、できた当初より売上高は第二位をキープしています。
またこの部門に関してはブランド店は「ゆず庵」のみで他のブランドはありません。

次いで第三位は「ラーメン部門」ですが、全体の15%となりゆず庵部門に迫ってきています。
ゆず庵部門ができた2017年からの推移では2.8倍に売上高が増加しており、その増加率は一番高い数値となっています。
競争の厳しいラーメン業界ですが、「丸源」「二代目丸源」のブランドを中心に事業拡大を進めています。

それでは各店舗の出店状況についても見てみましょう。
2023年6月末時点の店舗数は665店舗で前年からは+39店舗増加しました。
一番店舗数が多いのはやはり焼肉部門で305店舗です。
次いでラーメン部門で201店舗、ゆず庵部門で94店舗と続きます。

出所:決算説明資料

あと各部門の売上高とこの店舗数から1店舗当たりの売上高を算出してみましょう。
焼肉部門は1.6億円/店舗、ラーメン部門は0.7億円/店舗、ゆず庵部門は1.6億円となりました。
やはり商品の単価的にラーメン部門は金額は少なるなってしまいます。
店舗当たりのコストは不明なのではっきりしたことは言えませんが、売上高のみから考えると「焼肉部門」と「ゆず庵部門」の店舗数を伸ばした方が経営効率は良いと考えられます。

またまだまだ店舗数は21店舗と少ないですが海外への展開も進めています。
現在21店舗は全て中国への出店ですが、2023年7-8月にかけてインドネシアで2店舗出店する計画となっています。

出所:決算説明資料

それでは2024年の業績計画に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+14.4%の1,056億円、営業利益は+14.8%の82億円と二桁増の見通しなり堅調に推移する予定です。
売上高に関しては全ての部門で増収の見通しで、全体の売上高としては1,000億円超となります。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+38億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+1億円増加しましたが、そのうち現預金は△11億円減少しました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
あとは売上高の増加に伴い売掛金が+8億円増加しました。

固定資産に関しては+37億円増加しましたが、新店舗出店などにより有形固定資産で+30億円の増加が見られました。
店舗を持つビジネスモデルなので、どうしてもこの固定資産の金額は増加する傾向にあります。

負債に関しては+18億円増加しましたが、こちらも売上高増加に伴って売上原価も増加したので、その分買掛金や未払費用等が増加しました。

純資産に関しては+19億円増加しました。
当期純利益や剰余金の配当は毎年ある項目ですが、今回は「自己株式の取得」で△21億円のマイナスがありました。
これは剰余金の配当と同じく株主還元の一環で、株主を意識した動きとなります。

出所:決算短信

では安全性の指標に関しても見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は99%と100%を下回っており、数値としては良い状況ではありません。
社債の返済で△10億円の支出がありましたが、追加の資金調達はありませんでしたのでその分現預金は減少したままです。
その影響もあり、流動比率は低下しています。

固定比率(固定資産÷自己資本)に関しては150%と目安の100%を大きく上回っておりこちらも良好ではありません。
やはり新規店舗出店が重なると固定資産が増加するので、定常的に固定資産の割合は高い状態が続きます。
新店舗で利益が出てくれば自己資本が増加して指標としては良化しますが、それまでにはやはりある程度の年数がかかります。
ただ社債の返済をしても追加の資金調達なしでキャッシュが回っているので、現状すぐに問題になるわけではないと考えます。

3.CFの状況

では最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△17億円減少しました。
内訳としては営業CFで+96億円、投資CFで△81億円、財務CFで△32億円という内容です。

出所:決算説明資料

前年も今年もフリーCFはプラスで推移しているので、全体の収支がマイナスでも特段問題はないと考えられます。
営業CFで稼いだ範囲内で新店舗などへの投資金額を上手くコントロールしている印象です。

財務CFでは今回は社債の返済に対して追加資金調達はありませんでしたが、今後は新店舗への投資状況などを見ながら資金調達の検討も必要になってくるかもしれません。

また配当政策に関しては来年も増配する予定で、これで16年連続増配となる見通しです。
もちろんCFの状況を踏まえてのことにはなりますが、やはり株主還元もしっかりと意識しながら動きをとっている印象です。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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