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コメダホールディングスの決算レポート

2020年2月期決算資料に基づいて決算内容をみていきましょう。

売上収益と当期利益の状況

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売上収益は前年度比884百万円増加(2.9%増加)、当期利益は対前年度比254百万円増加(5.0%増加)と堅調に推移しています。

FY2016からの増加率は売上収益で29.8%増加、当期利益で19.1%増加となっていて共に 20%超です。

売上収益が順調に増加している要因は「店舗数の増加」が一番大きいです。
ちなみに店舗数の推移は以下のようになっています。

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FY2019は対前年度比で36店舗増加となっています。
(新規出店58、閉店22の結果として36店舗増加)

地域別では特に西日本の増加は大きく、FY2016から90店舗増加しています。
一方、お膝元の中京地区は毎年減少と苦戦している点が気になるところです。
ちなみに2019年6月には全国47都道府県出店達成を果たしています。

コメダの出店地の特徴としては「郊外立地を中心に出店」という点があります。
他社の特徴としては
スタバ:ひたすら往来の多い中心街に集中して出店
ドトール:路面店、駅構内、商業施設、病院、書店併設店など様々な場所への出店
という感じでそれぞれの出店に対する考え方の違いが出ています。


財政状態計算書の状況

以下決算資料より抜粋したものです。

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今回の一番のポイントは ”IFRS第16号「リース」の適用”  です。

この適用によってこれまでオフバランスだったリース関連の科目がオンバランスになったことで28,054百万円資産・負債が増加しました。
科目別では営業債権+25,323百万円、有形固定資産+2,577百万円、リース負債+28,402百万円と大きな影響を受けています。

ただもともとあったリース契約なのでキャッシュフローに影響を与える内容ではありません。

あと借入金に関してはFY2019での大きな動きはありませんでしたが、2020年4月30日から1年間100億円の借入を実行しています。
以下HPに掲載されていた開示情報です。

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具体的な借入目的は明記されていませんが、タイミング的には新型コロナウイルスによる今後の影響を考えての経営判断だと思います。

4月末に融資を実行するとなると遅くとも3月、2月後半から金融機関と交渉を開始していたと推測できます。

コメダ以外の他社でも3〜4月にかけて融資枠設定の動きが目立ってきています。
・トヨタ 三井住友銀行と三菱UFJ銀行に対して1兆円融資枠要請
・リクルート 3メガバンクに4500億円の融資枠要請
・ANA 71行から約1000億円の借入検討
などです。

これらの例はあくまで融資枠要請や借入検討の段階ですが、コメダは既に借入を実行しています。
これを「早い動き」と捉えるか「そんなにヤバいの?」と捉えるかですが、状況的には前者の方かなと考えます。


キャッシュフローの状況


以下決算説明資料より抜粋したものです。

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FY2019としては対前年度比+768百万円なので全体としてはあまり大きな動きはありませんでした。

ざっくり言えば「借入金返済で30億、設備投資で10億使っても当期利益が50億あるので差額の数億だけ増加した」という感じです。
*詳しい項目は決算短信などご参照ください

ただここでも”IFRS第16号「リース」の適用”も影響があります。
影響と言っても実際のキャッシュの動きではなく表示上の影響です。
FY2018まではリース取引をオペレーティング・リースと認識していたため、営業キャッシュフローの区分で表示されていました。

しかし今回の適用によってファイナンス・リースとして認識されるようになり、その結果FY2019は財務活動によるキャッシュフローとして表示されています。


今後の見通し

今世の中はコロナ一色、苦しい話ばかりが駆け巡っています。
特に飲食店は倒産企業も相次ぐ苦しい状況です。

コメダも例外ではなく、3月から徐々にコロナの影響が出始めて4月に入るとその影響は顕著に現れてきています。

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そのため今後の業績は現時点では見通せないようです。

店舗での飲食が現状厳しい状況ですが、コメダは「お持ち帰りメニュー」が結構充実しています。

実際に食べたことがありますがボリュームたっぷりで満足いく内容でした。

コメダのように各飲食店は店舗内での飲食から持ち帰りに舵を切ってこの難局をなんとか乗り切ろうと必死です。

それでも売上の減少は避けれないと考えたコメダは、先ほど説明したように銀行から追加借入金を実施して資金ショートだけは避けようとしているのではないかと推測できます。

そう考えるとコメダの追加借入金のタイミングは実に素早く適切だったのではないかと思います。

「持ち帰りメニュー」と「追加借入金」の二つを軸にFY2020はなんとか持ちこたえることができるのではないかと考えます。

今後のコメダの攻勢に期待しましょう!

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