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凸版印刷の決算内容を3分で解説!

今回は凸版印刷の決算内容について見ていきましょう。
最近CMで見かけることが増えたこの会社、CMの通り課題を突破しているでしょうか?

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+5.9%の1兆6,388億円となりました。
営業利益は前年比+4.3%の766億円、当期純利益は△50.6%の608億円と
営業利益ベースでは増収増益という結果となりました。

前年は特別利益の投資有価証券売却益で1,087億円があった影響で、経常利益から当期純利益にかけて利益が大きく跳ね上がりました。
ただ今回はそこまでの売却益がなく、約半分の553億円の売却益でした。
その分当期純利益ベースで見ると大幅な減益となってしまいました。

この点は本業から離れたところの文字通り「特別利益」なので、あまり気にする点ではないかと思います。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「情報コミュニケーション」「生活・産業」「エレクトロニクス」となります。

◇情報コミュニケーション
売上高は前年比△1.8%の8,875億円、営業利益は△16.3%の429億円と減収減益となりました。
3つのセグメントの中で売上高・営業利益ともに一番規模が大きいです。

ここでの事業内容はICカード関連・広告宣伝印刷物・デジタルマーケティングなどを行なっています。
今回はICカード関連の売上高は増加しましたが、それ以外の分野では減少となりました。
特に「紙→デジタル」という様に情報媒体のデジタルシフトによる影響で、ペーパーメディアの需要は減少しています。
その分今後はデジラルマーケティングなどの分野では成長が期待機できそうです。

出所:決算説明資料

◇生活・産業
売上高は前年比+17.2%の5,207億円、営業利益は△17.6%の235億円と増収減益となりました。

国内売上高は食品向け需要の増加やサステナブル包材の拡大もあり増加しました。また海外売上高に関しては、米国とタイの包装メーカー買収による影響もあり増加しました。

一方利益面に関しては、売上高の増加があったものの原材料・エネルギー価格の高騰を受けて減益となりました。

出所:決算説明資料

◇エレクトロニクス
売上高は前年比+15.3%の2,554億円、営業利益は+60.6%の482億円と増収増益となりました。特に営業利益は大幅な増益となりました。

堅調な半導体需要や産業機器向け需要の増加を受け売上高は増加しました。
ただ在宅特需の一巡や世界的インフレ、ロシア・ウクライナ問題の長期化などを受けて個人向け電子機器需要は低迷しており市場全体は原則傾向にあります。

利益面に関しては、売上高の増加影響に加え収益改善や高付加価値商品の取り込みなどもあり大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

◇2024年3月期業績見通し
売上高は前年比+0.4%の1兆6,450億円、営業利益は+1.8%の780億円と増収増益の見通しとなりました。

出所:決算説明資料

エレクトロニクスでは減収見通しですが、その他の情報コミュニケーションと生活・産業の事業では増収の見通しとなり、全体としては微増ですが増収になる見通しです。

営業利益に関しては、基盤構築費用や減価償却費の増加を見込むものの、既存事業と新規事業が拡大することを見込んで増益の見通しとなりました。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から△493億円減少しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+553億円増加しましたが、そのうち有価証券で+465億円の増加が見られました。

一方固定資産は△1,047億円減少しており、そのうち投資有価証券で売却が進んだこともあり△1,319億円減少しました。
投資有価証券の減少は、資本政策の一環として、政策保有株式の縮小を積極的に進めた結果となります。

政策保有株式とはいわゆる「持ち合い株式」と言われて、日本独自の株式保有の仕組みです。
ただ近年は企業ガバナンス上の問題や資本効率の悪化などにより、株式持ち合いの解消が進んでいます。
ここ最近の政策保有株式の売却は、資本効率を良くしたいという考えのもとに進めているのではないかと考えられます。

出所:決算短信

負債の部に関しては△643億円減少しましたが、そのうち400億円に関しては社債の償還による減少となりました。
一方短期借入金に関しては、短期運転資金の必要資金調達のため+118億円増加が見られました。

出所:決算短信

純資産に関しては+149億円増加していますが、当期純利益の608億円が一番の増加要因です。
あと内訳としては減少要因もあり、その大きな要因としては自己株式取得で△169億円の減少がありました。
自己株式取得は前年も156億円ありましたので、株主還元政策として定期的に実施していると考えられます。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から+333億円増加しました。内訳としては営業CFで+1,060億円、投資CFで△314億円、財務CFで△501億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFでは税引前利益で+1,095億円稼いでいますので、これがダイレクトに増加要因として影響しています。

投資CFに関しては、投資有価証券の売却による入金が+705億円ありましたが、有形・無形固定資産の取得で△844億円の支出などでマイナスとなりました。

出所:決算短信

財務CFに関しては、BSの状況でも触れました社債の償還による△400億円の支出や自己株式取得の△169億円の支出などもありマイナスとなりました。

またフリーCFに関しては、営業CFでしっかり稼いだ範囲内で投資などを行なっているのでここ2年間はプラスで推移しています。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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