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弁護士ドットコムハンコ不要が追風

テレワーク推進への障害となっていることで政府は契約書への「ハンコ不要」の見解を示しました。

新型コロナウイルスの影響でこの4月以降テレワーク勤務が急増している中出てきたこのハンコ問題、これにより追風を受けているクラウドサインを運営する弁護士ドットコムについて見ていきましょう。

全体の概要

次に全体の概要について見ていきましょう。

全体の売上高は41億円となり前年度比で+10億円(31.9%)となりました。
営業利益は4億円となり前年度比で△1億円(△23%)となりました。

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売上高が大きく増加したのに対して営業利益は減少しています。
これは販管費が9億円増加していることが減益要因となっています。
ではなぜ販管費が増えたの?という点です。
原因は今売り出し中のクラウドサインのテレビCMによる広告宣伝費が増加したものによります。

しかしこれは戦略的な支出であって実際に見事売上高増加に貢献しています。
広辞苑で「右肩上がり」と調べると出てきそうなくらい綺麗な形を描いています。

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テレビCMの効果的な使い方の良い例ではないかと思います。

クラウドサインの成長の背景

次にクラウドサインの成長の背景について見ていきましょう。

弁護士ドットコムのサービスの中で今一番伸びているサービスがこのクラウドサインです。
サービスの内容としては、契約締結から契約書管理までを全てクラウド上で行う電子契約サービスです。
ここ数年で導入企業数は10倍ほど増加し、2020年3月末時点では75,480社まで伸びています。
また業界シェアは80%超となっており勢いがものすごいです。

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ここまで伸びている電子契約ですが、社会環境が増加要因に一役買っているところもあります。
新型コロナウイルスの影響のため各企業リモートワークへの移行を進めています。またリモートワークに伴い「紙・ハンコ」の商習慣の見直しの動きがあります。
この動きに対して政府からも「契約書への押印は不要」の見解を出すほどになりました。
こうした社会環境の後押しもあり電子契約の導入が各企業で進んでいます。
リクルート、メルカリ、サントリーなどの大手企業も導入している状況です。

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今の驚異的な伸びの一番の要因はここではないかと思います。
リクルートのような取引企業の多い企業が導入をすると必然的に各取引先も導入を決めざるをえません。そうするとまたその先の取引先も・・・となります。
それがここ数年で導入企業が10倍増加した要因ではないかと思います。
大手企業との契約をを早い段階で取り付けることができたことがポイントでした。

ハンコの必要性

今の社会環境を背景に「ハンコは不要」という流れが出来つつありますが、そもそもハンコは必要なのか、という観点も見てみましょう。

結論から言えば「ハンコに法的効力はない」ということになります。

契約書や請求書にハンコが押されているケースがほとんどですが、そもそもハンコの有無によってその書類が法的に有効か無効かを左右することはないのです。
ただハンコがある方があることでその書類の信用性が増すため、商慣習としてハンコを押しているというわけです。

ただようやく世の中が「ハンコは不要なんじゃない?」と気づき始めたのに、それに抵抗する既得権益を守る人達も存在します。

ハンコの使用・不使用を選択できる制度を整えることが政治の仕事だと思うので、建設的な議論が今後進んでくれることを切に願います。

今後の成長

弁護士ドットコムのサービスは「弁護士ドットコム」、「税理士ドットコム」、「ビジネスロイヤーズ」、「クラウドサイン」の4つを提供しています。
売上の大半は弁護士ドットコムが占めますが、これまで見てきたクラウドサインの成長を足がかりに今期は+11億円(+25%)の52億円を目指しています。

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まだまだ導入企業の増加が見込めるクラウドサインをサービスの入り口として、そこから弁護士ドットコムで法務的なサービスを展開し、最後は税理士ドットコムの税務的なサービスへ顧客を囲い込むことができるのではないかと思います。

そう考えると弁護士ドットコムは各サービスのシナジー効果が上手く循環する非常に良くできたビジネスモデルということではないかと思います。

今後の展開が非常に楽しみです。

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