ビックカメラEC売上倍増から見えてくること
ビックカメラの4月のEC会員数が前年度の3倍に急増
ホントに⁈
と思い調べてみました。
EC売上高は?
4月のEC売上は3倍ではありませんが前年同月比で倍増となっていました。
倍増した要因は、やはり新型コロナウイルスによる外出自粛が大きく影響しているようですね。
EC売上は倍増しましたが、実店舗での売上は低迷しています。
45店舗中18店舗が休業、また営業している店舗でも営業時間の短縮などで売上は下がってしまいました。
結果、4月度全体の売上は対前年度比△23%減少となっています。
FY2020上半期の概要
せっかくなので上半期の結果も見ていきましょう。
まずは全体の概要です。
FY2020上半期の売上高は4,366億円で対前年度比△53億円減少(△1.2%)、
営業利益は77億円で対前年度比△49億円減少(△39.4%)となりました。
四半期ごとの結果
四半期ごとに見てみます。
1Qの売上高は対前年度比+193億円、営業利益は+13億円と好調でした。
一方新型コロナウイルスの影響が出ている2Qの売上高は対前年度比△246億円、
営業利益は△63億円と1Qの貯金を一気に吹き飛ばしてしまいました。
また既存店・インバウンド(免税)での売上高は軒並み減少していますが、EC売上高は増加しています。
この点はやはり新型コロナウイルスの影響が大きいと考えられます。
キャッシュフローの状況
続いてキャッシュフローの状況についても見てみましょう。
全体のキャッシュの動きとしては上半期で3億円程度増加しただなけので、大きな動きはありませんでした、と見えてしまいます。
しかし内容はあまり良いものとは言えません。
営業CF△2,979百万円となっておりコメントには「たな卸資産の減少」とありますが他に主要因があります。
決算短信でキャッシュフローの明細を見ると「仕入債務△13,935百万円」とありますので、本当の要因はこれです。
また財務CFは+10,903百万円となっておりますが、これは「短期借入金+16,631百万円」が主要因となります。(決算短信に明細があります)
つまりは通常の営業内の支払いを短期借入金を使ってしのいでいる状況です。
現状では銀行との当座貸越・貸出コミットメント契約で約1,400億円の借入枠があるので、借入残高約570億円から800億円程度の余裕はあります。
よって今すぐに運転資金が足りなくなるような状況ではありませんが、キャッシュフロー的には決して良好とはいえない状況にあります。
今後の進む方向
ここまでくるとビックカメラのこれから進む方向はほぼ決まりです。
それは「実店舗からECへのシフト」です。
今回の上半期でのEC売上高は669億円でしたが今後は2,000億円を目指していく方針です。
方向性としては間違っていなく実際にその為に電子棚札の導入を順次進めています。
これにより実店舗は商品を見定める場所、購入はECからという流れが強くなっていくでしょう。
ただこの流れを進めていくには「物流網の整備」と「実店舗の統廃合」が必要になってくると思います。
物流網の整備に関しては既に着手しているようでEC倉庫の拡大に投資を進めています。
あと個人的に他の選択肢としてAmazonと手を組むのもありかなと思います。
やっぱりあの商品到着の早さは魅力的ですよね。
実店舗の統廃合に関してやはろコストがネックかと思います。
コストがかかるいじょうはキャッシュを生み出さなければなりません。
実店舗の中では減損対象になっている店舗もあります。
まずは48店舗ある既存店の中で「人とキャッシュ」を集める事ができる店舗とそうでない店舗を層別する必要があると思います。
そこで残った実店舗をEC売上を生み出す入口として整備する事が「EC売上2,000億円」への道だと思います。
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