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キューピーの決算内容を3分で解説!

今回はキューピーの決算内容について見ていきましょう。
日本人ならほぼ全ての方がお世話になったことがあるこの会社、その決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+5.8%の4,551億円となりました。
営業利益は前年比△22.6%の197億円、当期純利益は△17.8%の132億円と利益面に関しては厳しい結果となりました。

出所:決算説明資料

海外事業の好調さと 調味料・業務用タマゴの価格改定等により増収となりましたが、それを上回る原材料・エネルギー価格の高騰が影響し、大幅な減益となりました。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては5つありますが、その中でも主要な3つ「市販用」「業務用」「海外」に関して見ていきます。

◇市販用
売上高は前年比+2%の1,774億円、事業利益は△26%の99億円と増収減益となりました。
前年までは売上高・事業利益ともにセグメントの中で一番の稼ぎ頭でしたが、今回の大幅な減益の結果、事業利益は海外に次ぐ二番手となりました。

出所:決算説明資料

調味料の価格改定やドレッシングの好調さを受けて微増ながら増収となりました。また主力商品のマヨネーズとドレッシングに限定して売上高を見てみると、国内売上高は前年比+9%と堅調に推移していることがわかります。

出所:決算説明資料

事業利益に関しては先程全体の概要の際に触れたように、原材料とエネルギー価格の高騰が大きな足枷となっています。
またその中にはもちろん輸入仕入れ時の円安による影響も含まれていることになります。

◇業務用
売上高は前年比+4%の1,653億円、事業利益は△40%の41億円と大幅な減益となりました。
売上高に関しては価格改定や鳥インフルエンザの影響によるタマゴ商品の相場高騰により増収となりました。
事業利益に関しては市販用と同様の要因に加えて、鳥インフルエンザの影響を受けて大幅な減益となりました。

出所:決算説明資料

◇海外
売上高は前年比+18%の783億円、事業利益は+22%の103億円と主要3事業の中で唯一の増収増益となりました。
かつ売上・利益両面で二桁増とその成長具合も好調です。

売上高を地域別に見てみると、中国・東南アジア・北米の全ての地域で前年比二桁増となっています。
特に北米では+26%とその成長を牽引しています。
またこの増収の中には円安の為替影響が40%程度含まれています。
為替の影響は大きいですね。

事業利益に関しても全ての地域で増益となっていますが、ここでも北米の成長率が突出して+80%と高い数値を示しています。

出所:決算説明資料

◇2024年度計画概要
それでは2024年度の計画概要に関しても見ておきましょう。
売上高は前年比+5%の4,800億円、営業利益は+29%の255億円と増収増益の見通しです。

出所:決算説明資料

海外に関しては今回に引き続き好調を維持する見通しです。
また国内に関しては、原材料価格高騰などのコストアップ分を吸収できるよう商品の「付加価値化」への取り組みを強化していく計画です。
その結果、利益面での見通しも今回の大幅減益から回復できる見通しを立てています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+226億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+144億円増加しましたが、そのうち現預金で+88億円の増加がありました。この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。
あとは商品や原材料などの棚卸資産で+69億円の増加、売掛債権でも+51億円の増加がありました。
売上高が増加しているので、その影響で売掛債権は増加したのではないかと考えられます。

固定資産は+83億円増加していますが、そのうち「退職給付に係る資産」で+69億円の増加が見られました。
これは年金資産が退職給付債務を超えたことを意味しますので、近年の株高傾向などを受けて年金資産の運用が好調だった結果だと考えられます。

負債に関しては+59億円増加しましたが、そのうち繰延税金負債で+32億円の増加がありました。
あと減少項目としては、短期・長期借入金で△11億円の減少がありました。
これは借入金への返済が進んだことによる減少となります。

出所:決算短信

純資産は+167億円増加しましたが内訳としては剰余金配当で△69億円、当期純利益で+131億円、退職給付に係る調整累計額で+42億円が主な内容です。ここでも退職給付関連が登場しましたね。

出所:決算短信

では安全性の指標に関しても少し見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は223%と目安の200%を超えており問題ありません。
固定比率(固定資産÷自己資本)は95%と目安の100%を下回っており、こちらも問題ないレベルです。
このあたりはさすがと言いますか、しっかりとコントロールされている印象です。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△29億円減少しました。
内訳は営業CFで+237億円、投資CFで△177億円、財務CFで△95億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税引前利益で+220億円としっかり稼げています。
ただ売掛債権と棚卸資産の増加がCFにはマイナスに作用していますので、この点は少し注意が必要です。

投資CFに関しては、有形・無形固定資産への投資で△174億円の支出がありました。投資金額のレベル感としては前年が168億円だったので、ほぼ同レベルでの投資が継続されています。

財務CFに関しては、配当金の支払い△69億円の支出が一番大きな内容です。
あとは短期・長期借入金の返済で△14億円の支出、リース債務の支払いで△7億円の支出と、前年同様の項目での支出となります。

CF全体ではマイナスとなりましたが、フリーCFでは前年に続きプラスで推移しているので、上手くコントロールされている印象です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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