オーエスジーの決算内容を3分で解説!
今回はオーエスジーの決算内容について見ていきましょう。
切削工具の製造・販売を手掛けるこの会社、その中でもねじを立てるタップという製品では世界トップシェアをほこります。
その決算内容はどうでしょうか?
1.PLの状況
まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+3.6%の1,477億円と過去最高を記録しました。
営業利益は前年比△9.6%の198億円、当期純利益は△13.5%の143億円と利益面では減益となりました。
欧米の好調の影響で売上高は過去最高となりましたが、アジア圏では停滞が続き利益面では減益となりました。
また利益面の減益要因として、インフレによる人件費や電力費などの固定費増加が考えられます。
販売費及び一般管理費で前年比で+34億円増加していることがそれを証明しています。
それでは地域別に内容を見ていきましょう。
まず売上高については、年々海外売上高比率が増加しており、今回の決算では67%となりました。
2016年度は55%だったので、そこから7年間で+12%増加したことになります。特に欧米での増加が大きく影響していると考えられます。
営業利益に関しても同様の傾向で、海外での利益の割合が約60%を占めています。特に欧州・アフリカでの増益が大きく、前年比+30.3%と大きく躍進しました。
一方アジアでは前年比△30.5%と大きく減益となったので、アジアの減益を欧州・アフリカでカバーした形となりました。
◇日本
国内では経済活動の正常化を背景に、景気は緩やかな回復傾向となりました。グローバル・サプライチェーンの混乱は終息に向かっており、自動車関連産業においては、半導体等部品不足が緩和方向である一方で、生産材需要の低迷を受けて幅広い業種で減産となるなど、製造業の生産活動は一進一退が続きました。
その結果、日本国内の営業利益は前年比△17.1%の減益となりました。
◇米州
北米では高インフレやそれに伴う金融引き締めの影響により、引き続き景気後退の懸念はあるものの、個人消費や設備投資が底堅く推移して堅調を維持しました。
南米ブラジルでは、自動車購入補助金政策の導入などがありましたが、半導体等部品不足の影響もあり、自動車生産高は前年と比較して横ばいとなりました。
一方で航空機関連産業に関しては回復基調になっています。
以上の結果に加えて為替影響もあり、前年比+4.5%の増益となりました。
◇欧州・アフリカ
欧州の経済は高止まりするインフレ率やそれに伴う金利の引き上げ、エネルギーコストの上昇等の影響を受けて減速しながらも、前年並みで推移しました。サプライチェーンの混乱等もあり、自動車関連産業は引き続き回復途上にありますが、航空機関連産業は新規案件等も増加傾向にあり、回復基調が顕著になってきています。
以上の結果に加えて為替影響もあり、前年比+30.3%の増益となりました。
◇アジア
中国経済はゼロコロナ政策解除を機に一時的に回復傾向にありましたが、政策解除後のリバウンド需要が予想よりも早く終息し、春以降は一転減速となりました。特に製造業では生産調整、帰休等が実施されるなど厳しい状況が続きました。
また輸出主導の台湾においても外需の減少により厳しい状況となりました。
以上の結果、主要市場の中華圏の低迷もあり、前年比△30.5%の大幅な減益となりました。
◇2024年11月期 業績予想
来年の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+3.6%の1,530億円、営業利益は+16.2%の230億円と増収増益の見通しです。
売上高は過去最高更新の見通し、営業利益に関しても2023年の減益分を取り返すような見通しとなっています。
2.BSの状況
次にBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+212億円増加しました。
流動資産は+185億円増加しましたが、そのうち現預金で+112億円の増加がありました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
あとは売掛金で+17億円の増加が見られますが、その分売上債権回転日数が少し悪くなっています。
顧客との決済基準の問題とは思いますが、少し長めの回転日数となっているので、この点は注意が必要かと考えます。
固定資産では+27億円増加していますが、そのうち有形固定資産の「機械装置及び運搬具」で+30億円の増加となりました。
今回105億円の設備投資がありましたので、その影響で増加したと考えられます。また来年度は更に投資額を増額して150億円を投じる計画です。
負債に関しては+34億円増加しましたが、そのう有利子負債で+31億円の増加がありました。
内訳としては社債で+50億円、それ以外の借入金は返済が進んだため減少しています。
「借入金を減らして社債の割合を増やしている」傾向にありますが、これは自然にそうなっているわけではなく、意図的にそのように動いていると考えられます。
純資産に関しては+178億円増加しましたが、内訳としては剰余金配当で△62億円、当期純利益で+143億円、あと為替換算調整勘定で+83億円などが主な内容となります。
円安効果で為替が大きく動いたことが影響しています。
為替の力は大きいですね。
3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+130億円増加しました。
内訳としては営業CFで+233億円、投資CFで△85億円、財務CFで△38億円という内容です。
営業CFは税引前利益で+207億円としっかり稼げており問題ありません。
投資CFに関しては、有形固定資産の取得で△105億円の支出がありました。
来年は今年を超える150億円の投資を計画しており、営業CFで稼いだ分をしっかりと投資にまわしていく考えです。
財務CFに関しては、社債の発行による収入が+50億円ありましたが、配当金の支払△62億円の支出などにより、全体としてはマイナスとなりました。
全体としてはフリーCFがプラスになる範囲内で投資を行なっていますが、資金が不足する場合は財務で資金調達を行い上手くコントロールしている印象です。
今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?
マサキタカオ
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