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日本駐車場開発の決算内容を3分で解説!

今回は日本駐車場開発の決算内容について見ていきましょう。
売上高・利益ともに過去最高を更新しており波に乗っているこの会社、その好調の背景に何があるのでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+21.3%の318億円と過去最高を記録しました。
営業利益は前年比+35.3%の62億円、当期純利益は+41.1% の44億円と利益面に関しても過去最高を更新と最高の決算となりました。

出所:決算説明資料

コロナ禍の収束に伴って主力事業の駐車場事業ではホテルや百貨店でのバレーサービスの受注が増加しました。
またスキー事業ではインバウンド来場増加により大幅に改善するなど各事業で好調を維持しています。

では各事業別に詳細について見ていきましょう。
事業としては3つ「駐車場事業」「スキー場事業」「テーマパーク事業」があります。

◇駐車場事業
売上高は前年比+7.3%の156億円、営業利益は+6.6%の37億円と増収増益となりました。
国内は物件数・総台数ともの増加しましたが、海外はともに減少しました。
ただ海外売上金額は増加しているので、この点は為替の円安効果が影響していると考えられます。

出所:決算説明資料

営業利益の増減要因に関しては、物件閉鎖や給与ベースアップ、駐車場検索サイト強化のためのツール費用増加などの減益要因がありました。
一方でこれらの減益要因をカバーしそれらを上回る増益要因がありました。
国内では新規物件の受注や既存物件の改善効果、また月極検索サイトの仲介契約件数の増加などが増益効果として表れました。

出所:決算説明資料

国内に関してもう少し具体的に言うと、駐車場データのDX化を進めることでユーザーデータの分析が可能になった結果、既存物件の収益を改善することができました。
さらにデータを基にビルオーナーへの複合提案等も可能になったことで、新規契約物件の受注も順調に推移しました。
DXによるデータ活用の効率化が進んだ結果、エリアごとの需給ギャップを解消することができ、それが増収増益に繋がったということです。

出所:決算説明資料

また次年度の計画としても「DX推進によるデータ活用」をさらに推し進める予定です。それに加え、「有人運営の更なる事業展開」や「海外駐車場の強化」に関しても注力していく考えです。
海外に関してはまだまだ規模的には小さいですが、コロナ禍の収束によってタイや韓国で大幅に業績が回復しており、事業拡大のチャンスは大いに期待できるところです。

出所:決算説明資料

◇スキー場事業
売上高は前年比+23.9%の68億円、営業利益は+308%の大幅増益で過去最高を更新しました。

出所:決算説明資料

グリーンシーズンではコロナ後初の行動制限の無い夏を迎え、過去から投資を進めてきた展望テラスの反響やネットアスレチック等の新規遊具オープン、さらに各種イベントの開催により過去最高の来場者数を達成しました。
ウィンターシーズンでは小学生以下の子供たちやノンスキーヤー等の新たな顧客チャネルの獲得に注力しました。
またインバ ウンドの来場もコロナ前の7割まで回復したことも大きく影響しています。

出所:決算説明資料

また次年度計画としては、引き続きキッズプログラムやノンスキーヤー層の「新規顧客開拓」に注力していきます。
他に「アライアンスの促進」や「宿泊事業の本格化」へも注力することで、今回の過去最高を更に更新していく予定です。

出所:決算説明資料

全体の次年度の計画についても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+3.6%の330億円、営業利益は+12.9%の70億円と過去最高だった今回の決算を更に上回って過去最高を更新する見通しです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+14億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産全体の金額では動きはありませんでしたが、内訳としては変動がありました。なかでも現預金は△5億円減少しましたが、一方で売掛金は+1億円増加しました。

固定資産は+14億円増加しましたが、そのうち有形固定資産の建物・構築物で+15億円、投資有価証券で+3億円の増加が見られました。

出所:決算短信

負債に関しては△8億円減少しましたが、そのうち長期借入金の返済が進んだことで△13億円の減少がありました。
一方で利益の増加に伴い未払法人税等では+4億円の増加がありました。

出所:決算短信

純資産に関しては+22億円増加しましたが、増加要因は当期純利益の+44億円です。減少要因は剰余金の配当△16億円と自己株式の取得△17億円です。
前年の当期純利益が+31億円だったので、今回の剰余金の配当と自己株式の取得で綺麗に株主還元した形となりました。
この辺り株主還元をかなり意識した意思決定を行っていると考えられます。

出所:決算短信

では安全性の指標に関しても見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)に関しては296%と目安の200%を大きく超えており問題ありません。
固定比率(固定資産÷自己資本)に関しては130%と目安の100%を割り込んでいます。
やはりビジネスモデル的にどうしても固定資産の金額の割合が高めになる傾向があります。
よって別指標の固定長期適合率[固定資産÷(固定負債+自己資本)]で見ると68%となり問題レベルと考えられます。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△6億円減少しました。
内訳としては営業CFで+61億円、投資CFで△25億円、財務CFで△42億円という内容です。

営業CFは税引前利益で+62億円としっかり稼げているので問題ありません。

投資CFに関しては、有形固定資産の取得で△41億円の支出がありました。
一方で不要になった有形固定資産の売却で+18億円の収入がありました。
この売却に関しては金額は少額ですが前年も0.6億円の収入がありましたので、毎年購入とセットで売却できる資産の棚卸しを実施しているようです。

財務CFに関しては前年もあった内容ですが、借入金の返済・自己株式取得・配当金の支払の3項目で△49億円の支出がありました。

出所:決算短信

配当金に関しては、今回で13期連続増配となり次回も増配予定で14期連続の増配を計画しています。
株主還元を意識し、可能な限りは増配を継続する方針だと考えられます。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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