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AGCの決算内容を3分で解説!

今回はAGCの決算内容について見ていきましょう。
ガラスメーカーのトップを走るこの会社、その決算内容はなかなか苦戦を強いられている様子です。


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比△0.8%の2兆193億円とほぼ横ばいの減収となりました。
営業利益は前年比△30%の1,288億円、当期純利益は前年の赤字から大幅に回復し658億円の黒字となりました。
前年は減損損失の計上があったため、営業利益以降は損失が膨らみましたが、今回はそのような特別な損失計上はありませんでした。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に内容を見てみましょう。
セグメントとしては6つ「建築ガラス」「オートモーティブ」「電子」「化学」「ライフサイエンス」「セラミック・その他」があります。

出所:決算説明資料

◇建築ガラス
売上高は前年比△1.5%の4,763億円、営業利益は横ばいの328億円となりました。
欧米では、景気減速の影響を受けた欧州で出荷が減少し、販売価格が下落した結果、前年に比べ減収となりました。
ア ジアは、日本を除く地域で出荷が減少しましたが、販売価格の上昇により前年に比べ増収となりました。
営業利益は、製造原価の悪化の影響などがありましたが、原燃材料価格の下落によりほぼ横ばいに推移しました。

出所:決算説明資料

◇オートモーティブ
売上高は前年比+19.6%の4,997億円、営業利益は前年の赤字から大幅に回復し、218億円の黒字となりました。
自動車用ガラスは、自動車生産台数の増加により出荷も増加しました。
また、販売価格の上昇や品種構成の改善、為替の影響もあり、増収となりました。
営業利益は製造原価の上昇などの影響を受けたものの、上記の要因により大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

◇電子
売上高は前年比+1.9%の3,132億円、営業利益は+25.1%の184億円と増収増益となりました。
ディスプレイは、液晶用ガラス基板の出荷が増加したことなどから、前年に比べ増収となりました。
電子部材は、ス マートフォン市場減速の影響によりオプトエレクトロニクス用部材の出荷は減少したものの、EUV露光用フォトマスク ブランクス等の半導体関連製品の出荷が増加したことに加え、為替の影響により前年に比べ増収となりました。

出所:決算説明資料

◇化学品
売上高は前年比△13%の5,741億円、営業利益は△48.6%とほぼ半減の648億円と、大幅な減収減益となりました。
エッセンシャルケミカルズは、塩化ビニル樹脂等の販売価格が下落したことから前年に比べ減収となりました。
パ フォーマンスケミカルズは、フッ素関連製品の出荷は減少しましたが、販売価格の上昇や為替の影響により売上高は前年並みとなりました。

出所:決算説明資料

◇2024年業績見通し
では2024年の業績見通しに関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+4%の2兆1,000億円、営業利益は+16.4%の1,500億円と増収増益の見通しとなりました。
電子、ライフサイエンスで復調する見通しがあり、それが全体の増収増益に大きく影響していると考えられます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
資産全体としては前年末から+1,190億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産では△211億円の減少となりましたが、そのうち現預金で△636億円の減少が見られました。この点に関しては後のCFで見ていきます。
それ以外の項目では一部増加した資産がありました。
営業債権で+230億円、棚卸資産で+175億円などが主な内容となります。

非流動資産では+1,400億円の増加となりましたが、その内有形固定資産・無形固定資産・のれんで+1,163億円の増加が見られました。
このうち為替影響が833億円含まれています。為替の影響は大きいですね。

負債に関しては+502億円増加しましたが、そのうち有利子負債で+448億円の増加が見られました。

資本に関しては+687億円増加しましたが、増加要因は当期包括利益+1,816億円が主な内容です。
一方減少要因は毎年実施している配当の△620億円に加えて、今回は自己株式取得で△500億円と大きな株主還元の動きがありました。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△637億円減少しました。
内訳としては営業CFで+2,125億円、投資CFで△1,798億円、財務CFで△1,080億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税引前利益と減価償却で合わせて3,000億円近く稼いでおり問題ありません。

投資CFに関しては前年より+345億円投資金額が増加しています。

財務CFに関しては、自己株式取得で△500億円と大きな支出がありました。
配当金と合わせると900億円超の株主還元となります。
この辺りは株主還元を意識した意思決定がされている印象です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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