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伊藤園の決算内容を3分で解説!

今回は伊藤園の決算内容について見ていきましょう。
大谷翔平選手とグローバル契約をして、「大谷翔平ボトル」を販売するなど一時期話題を集めたこの会社、決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+5.1%の4,538億円と増収となりました。
営業利益は前年比+27.7%の250億円、当期純利益は+21.4%の156億円と二桁増の増益となりました。

出所:決算説明資料

原料・資材等の高騰や賃上げによる人件費のコストアップ要因はありましたが、それ以上の価格改定や収益改善効果により大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見てみましょう。
セグメントとしては2つ「リーフ・ドリンク関連事業」「飲食関連事業」があります。

◇リーフ・ドリンク関連事業
売上高は前年比+4%の4,062億円、セグメント利益は+23.9%の221億円と増収増益となりました。

出所:決算短信

2024年2月に発売35周年を迎えた主力ブランドである「お~いお茶」では、おいしいお茶を「いつでも、 どこでも」飲んでいただきたいという強い想いから積み重ねてきた技術や経験に基づいた製品開発や、「日本茶の日 お~いお茶大茶会」、「『お茶で日本を美しく。』キャンペーン」等の活動を通じて、ブランドのさらなる価値向上に努めています。
5月には、年に一度の旬のおいしさを楽しめる「お~いお茶 新茶」リーフ製品とドリンク製品を発売し、また若者とともに「爽やかな香りとまろやかなお茶のあまみ」「若者の価値観」をキーワードに開発した 「お~いお茶 〇やか(まろやか)」を新発売するなど、日本人にとって最も身近な日本のお茶として愛される 「お~いお茶」を提供し続けるため、時代とともに多様化する消費者のニーズに迅速に対応し、老若男女問わず共感してもらえるブランドを提案しています。
その結果、緑茶飲料の国内販売金額シェアは36%と高水準を維持しており、次年度は更にシェアを伸ばす見通しです。

出所:決算説明資料

また海外展開に関しては、主力商品の「お~いお茶」で世界40の国や地域で販売するなどグローバル化を加速させています。
ドイツとベトナムに新たに現地法人を設立するなど、積極的に拠点拡大にも着手しています。
このような動きの中、次年度は前年比+24%の販売増を見込んでおり、今後更なる事業拡大に期待が持てる展開となっています。

出所:決算説明資料

この展開を確かなものにするために、日本の伝統文化の歌舞伎を使ったTV-CMや大谷翔平選手とのグローバル契約締結によりグローバル広告を世界へ発信するなど、プロモーション活動も積極的に取り組んでいく予定です。

出所:決算説明資料

◇飲食関連事業
売上高は前年比+13.6%の403億円、営業利益は+33.2%の32億円と二桁増の増収増益となりました。

出所:決算短信

タリーズコーヒージャパンにおいては、スプリングシーズンを彩る季節限定ドリンクとして、タリーズ初のアーモンドミルクを使用した「カカオ香る アーモンドミルクラテ」「&TEA 桃と杏のロイヤルアーモンドミル クティー」を販売し、新たなコーヒー・紅茶体験をお届けしました。
さらに、4月の新生活シーズンには爽やかな フレーバーの「甘熟苺ヨーグルトスワークルR」や、デザートのような満足感をお楽しみいただける「抹茶ティラ ミスシェイク」を販売し、好評となっています。
また、物販カテゴリーにおいては、手ぬぐいブランド「かま わぬ」や、ファッションブランド「マンハッタンポーテージ」とのコラボレーションアイテムが話題となり好調に推移しました。
新規出店に関しましては、「&TEA」業態が全国30店舗に拡大し、関東1号店となるドライ ブスルー併設店舗「フォレストモール新前橋店」をオープンするなど順調に進み、2024年4月末の総店舗数は791店舗となっています。

出所:決算説明資料

◇2025年4月期計画
それでは2025年4月期の計画に関して概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+2.8%の4,666億円、営業利益は+5.9%の265億円と増収増益の見通しです。
販売促進費用などコストアップ要因が想定されますが、それを上回る売上増加や継続した収益改善活動などにより堅調に推移できる見込みです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
資産全体としては前年末から+151億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+93億円増加しましたが、そのうち現預金で+51億円の増加がありました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
それ以外では売上高の増加に伴って売上債権・棚卸資産で+19億円の増加が見られました。

固定資産では+57億円の増加がありましたが、そのうち建物・構築物で+17億円の増加が見られました。

出所:決算短信

負債に関しては+40億円増加しましたが、このうち買掛金・未払費用で+38億円の増加が見られました。
これは売上高増加に伴う支払債務の増加となります。

出所:決算短信

社債に関しては100億円の償還時期が到来しましたが、また同額の社債を発行しているため、残高としての変動はありません。
ちなみに伊藤園の社債の格付けはA+となっており、信用度としては「高い」方に分類されています。

純資産に関しては+110億円増加しましたが、当期純利益の+156億円、剰余金の配当△53億円が主な内容です。
あとは自己株式取得で△28億円や、円安の影響による為替換算調整勘定で+29億円などの増減要因がありました。

出所:決算短信

3.CFの状況

次はCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+44億円増加しました。
内訳としては営業CFで+254億円、投資CFで△107億円、財務CFで△122億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税引前利益と減価償却費で合わせて300億円以上しっかりと稼げており問題ありません。

投資CFは有形・無形固定資産への投資で△99億円の支出がありました。
また営業CFで+200億円以上稼いでいるので、フリーCFとしてはプラスの推移となります。
過去4年間の推移を見ても、常に営業CFの範囲内で投資を実行しているため、フリーCFは常にプラスで推移しています。
ただ今後の事業拡大・成長を考えるともう少し投資にキャッシュを振り分けてもいいのではないかと考えます。

財務CFに関しては社債の償還がありましたが、同額で新規発行しているため大きな影響はありませんでした。

4.まとめ

最後に全体のまとめです。

財務三表全て良好な結果となっています。
ただ財務体質は良好なので、余剰資金を投資に振り分けていくことが今後の課題ではないかと考えます。

出所:自作

また年初からの株価推移は以下のようになっていますので、ご参考までにご覧ください。

出所:Google Finance

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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