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ライオンの決算レポート

ライオンの1Q決算報告書を見ていきましょう。

概要

まずは概要です。

今回の決算のポイントは2つです。

一つ目は「新型コロナウイルスによる影響」です。
この影響でハンドソープや関連商品の売上が大幅に増加しています。

二つ目は「本社土地の譲渡」です。
これにより100億円の譲渡益が発生しています。

要はこの2点で利益を稼いだ結果となっています。

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業績の状況

では次に業績の状況について見ていきます。

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対前年度比で売上高 +36.1億円(4.6%)、営業利益 +127.8億円(214.7%)の増収増益という結果となりました。

セグメント別の売上高を見ると、ハンドソープの需要増加に牽引されて一般用消費財の売上高は対前年度比+11.3%増加しました。
一方海外事業の売上高は、外出制限による店舗売上減少や一時的な操業停止による影響もあり対前年度比△3.8%減少しました。
地域別に見ると、中国や韓国などの北東アジアでは対前年度比△2.0%、タイやマレーシアなどの東南アジアでは対前年度比△4.7%となっています。

ただここで注意が必要です。
全体売上高△3.8%減少のうち為替変動による影響が△3.4%、為替を除く実質影響は△0.4%となっているのです。
いかに為替変動の影響が大きいか、ここからその怖さがうかがえます。

以下セグメント別情報です。

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営業利益に関しては、最初に概要で書いたように土地の譲渡益が大きな影響をもたらしています。
土地の譲渡益なので「コストゼロで利益を稼いだ」ようなものです。
その結果は営業利益の増加率 +214.7%に現れています。

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財政状態の状況

次に財政状態の状況について見ていきます。

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ここでのポイントは、「現金及び現金同等物」と「棚卸資産」の動きです

現預金は土地の譲渡で100億円の臨時入金がありましたが、最終的には△93.1億円の減少となっています。
残高としては1,104億円あるので月商ベースで見ても4ヶ月分あるので問題ないように見受けられますが、若干キャッシュフローの流れが悪い気がします。
その一つの要因には棚卸資産の増加があるのではと考えます。
アジアの海外拠点で一時的な操業停止になった地域もあり、通常より多く商品・材料等の在庫を抱えていることが想定されます。
本来であればその在庫がキャッシュに変わっているはずなのですが、その動きが少し滞っている状況ではないかと思います。
この点が解消されれば、キャッシュフローの流れは改善されるかと思います。


今後の見通し

最後に今後の見通しについて見ていきます。

以下2020年度の業績予想です。

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見てお分かりのように前年度とほぼ変わりなしの予想です。
新型コロナウイルスの今後の影響を踏まえて慎重に予想を立てた結果なのだと思います。

しかし個人的には少し残念です。

ライオンはここ何年も売上高の横ばい状態が続いています。
海外拠点もアジア中心のままです。

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しかし今回の新型コロナウイルスの影響をチャンスに変えることができるとどうでしょうか?
例えば海外拠点をアジアからアフリカ諸国へ広げることができればどうでしょう?
これまで手洗い習慣があまりなかったアフリカ諸国ですが、今回の新型コロナウイルスの影響で手洗い習慣が広まりつつあります。
少なからずライオンには進出チャンスはあるのではないかと考えます。

実際に進出するとなるとハードルは高いかもしれませんが、もう一段飛躍するには今がチャンスではないかと考えてしまいます。

今後のライオンの飛躍を期待したいところです!

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