見出し画像

ジンズホールディングスの決算内容を3分で解説!

今回はジンズHDの決算内容について見ていきましょう。
眼鏡業界で2位に位置するこの会社、サウナブームに乗りサウナ用メガネを発売するなど色々と仕掛けています。
その決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+9.5%の732億円の増収となりました。
営業利益は前年比+46.2%の48億円、当期純利益は+134.6%の17億円と利益面に関しては大幅増益となりました。

出所:決算説明資料

では項目別に詳細を見ていきましょう。
売上高に関しては国内と海外、店舗とECの区分があり、今回一番売上高が伸びたのが「海外店舗」で、前年比+26.5%と大幅増収となりました。
台湾・米国で好調を維持しており、中国でも3Qに入ってコロナ禍の反動で急回復しました。
その結果、全体の売上高に占める海外売上高は前年の20%から今回は23%まで伸長しました。

国内店舗に関しては前年比+5.8%となりましたが、12〜1月まではかなり苦戦を強いられました。
ただ2月以降は一式単価の上昇を背景に既存店舗で回復基調に向かい、特に下半期は大幅増収となりました。

出所:決算説明資料

やはり前年はコロナ感染者の増加に伴い緊急事態宣言による営業自粛などにより既存店舗の売上高は減少していました。
それが今回はコロナ禍からの回復により既存店舗の増収率は一気に回復基調に転じていきました。

出所:決算説明資料

また売上高の増収要因の一つとして一式単価の上昇も考えられます。
前年の一式単価 8,518円に対して今回は9,384円と+10.2%も成長しました。
これに加えて有料オプションレンズ装着率も30.3%から36.3%まで伸びましたので、この分客単価は上昇しています。
「客数の回復」×「客単価の上昇」、この二つの掛け合わせで増収に至ったと考えられます。

出所:決算説明資料

売上総利益率に関しては、前年の77.9%から△1.1%下げて76.8%になりました。率の減少の要因として「商品評価損」の影響があり、これは国内・海外両方で発生しています。

出所:決算説明資料

売上高販管費率に関しては、前年の73%から70.2%と△2.8%減少しました。
もちろん売上高の増加の影響はありますが、それ以外に広告宣伝費や賃料の効率化等により改善効果が表れています。

出所:決算説明資料

主要な費目別で見ると、金額影響が大きい人件費の売上高比率の増減率をゼロで抑えることができた点は大きな効果となっています。
また金額的な影響では劣りますが、先程触れた賃借料と広告宣伝費の効率化はやはり大きく貢献しています。

出所:決算説明資料

では2024年8月機の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+10.1%の807億円、営業利益は+13.4%の55億円と増収増益の堅調な見通しです。
国内・海外ともに出店を計画しており、海外では特に中国で+8店舗と積極的に攻勢を仕掛ける計画となっています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から△98億円減少しました。

資産の部では流動資産で△94億円減少しています。
このうち現預金で△92億円減少していますが、この点は後のCFの状況で見ていきます。
それ以外では商品在庫で△13億円の減少がありましたが、これは計画的な在庫消化・発注の抑制や商品評価損の計上もあり大きく減少しました。

出所:決算説明資料

負債に関しては△112億円減少しましたが、社債の償還による△100億円が大きな要因となります。
他の要因としては、事務所移転費用引当金で△2億円、事業構造改革費用引当金で△6億円と引当金関連で減少が見られます。
今回の引当金は製品保証引当金のように毎期発生する性質ものもではなく、ある特定の期間だけ発生する、つまりスポット発生する性質のものでした。
よって、今回はその発生期間が終了したため引当金がゼロになりました。

出所:決算短信

純資産に関しては+13億円増加していますが、増減内容は剰余金の配当による△3億円と当期純利益の+17億円が主な内容となります。
それ以外で大きな動きはありませんでした。

出所:決算短信

では安全性の指標に関しても見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は210%と目安の200%超えており問題ない状況です。
前年の流動比率は146%でしたが、今年は社債100億円の償還によって流動負債が減少したことが比率上昇に影響していると考えられます。
固定比率(固定資産÷自己資本)に関しては98%とギリギリ目安の100%を下回っているので問題はありません。
設備投資の金額は前年と同レベルで推移し、当期純利益は堅調に推移しているので、比率の改善方向へ向かう動きとなっています。

出所:決算説明資料

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△92億円減少しました。
内訳としては営業CFで+60億円、投資CFで△38億円、財務CFで△115億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税引前利益で+28億円としっかり利益が出ており、また今回は商品在庫の整理・効率化が進んだことがプラスへ影響しています。

投資CFに関しては、出店・改装による有形固定資産と無形固定資産の取得で△35億円の支出がありました。
金額のレベル感としては前年と同レベルの規模での投資となりました。

財務CFに関しては、社債償還による△100億円の支出が大きく影響して全体としてはマイナスとなりました。

営業CFと投資CFの合計であるフリーCFは前年に続きプラスで推移しており、状況としては良好に推移しています。
CF全体で見るとマイナスとなっていますが、社債償還の△100億円の除けば全体としてもプラスとなります。
以上よりCF全体の状況としては問題なく良好かと考えられます。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?